第七幕その八
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「一番沢山抜いた人にはご褒美があるということでね」
「そうね、それじゃあそのご褒美はね」
ジュリアは抜きながら木樵のその提案に笑顔で応えました。
「面白いものがいいわね」
「というと?」
「ええ、一番沢山抜いた人には私がお花の冠を作るから」
近くに咲いている眠り草以外のお花達を見ての言葉です。
「それを頭に飾るということで」
「いいね、それは」
「ええ、それじゃあね」
「今からだね」
「皆で競争しましょう」
「はじめようね」
木樵が笑顔で応えてでした、そのうえで。
皆は草を抜く競争をしました、一本一本確実に抜きながら。そしてあっという間に一本残らず抜きましたが。
優勝者はです、誰かといいますと。
「やっぱりですね」
「ジュリアさんが一番でしたね」
「だってもう動きが違いましたから」
「凄く速くて」
「手慣れていて」
「ジュリアはいつも王宮で草毟りをしているからね」
かかしが言いました。
「だから慣れているんだね」
「そのせいかしら」
「うん、君が一番だったのもね」
「そういえば最初からですね」
神宝も言いました。
「ジュリアさん凄い勢いで抜いていましたね」
「やっぱり慣れていると違うよ」
かかしはまた言いました。
「それだけね」
「私は特に急いでいなかったけれど」
「だからいつもしているからだよ」
「草毟りに慣れているっていうのね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「だからね」
「それでなのね」
「君がトップになったんだ」
「そうなのね」
「じゃあ全部抜いたし一つにまとめたし」
「後はね」
「燃やしてだね」
その眠り草達をです。
「そうしてだね」
「ええ、後はね」
「冠を作るんだね」
「私が私の為に作るのね」
「それは嫌かな」
「ううん、自分の為に作ることは」
「抵抗があるとか?」
かかしがジュリアに尋ねました。
「やっぱり」
「どうもね」
「そうしたことは別にね」
「気にしなくていいの?」
「そう思うよ」
かかしはこうジュリアい言いました。
「別にね」
「それじゃあ」
「うん、今からね」
「眠り草を燃やしてね」
「それが完全に終わってから」
「花飾りを作るわ」
その冠をというのです。
「そうするわね」
「そうしようね」
「そしてね」
ジャックが言うことはといいますと。
「大事なことはね」
「大事なこと?」
「うん、燃やした後だよ」
「あっ、火を使うから」
「水でちゃんと消しておこうね」
「そうね、ちゃんとそうしておかないとね」
「火事の元だから」
「お水も用意しておこう」
「けれどお水は」
神宝達はお水と聞いて周りを見回しました、ですが。
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