第20話『混迷の時代の願い星〜勇者の新たなる旅立ち』【Bパート 】
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元に刃を突き付けられた気分になる。すがるようなザイアンの視線を振り切って、凱は遥か彼方を見やる。
「それが……『人を超越した力』を持った俺の使命だと思うから」
凱の言っていることが、ザイアンには分かる。ふいに立ち上がった凱を見やるザイアンの瞳がかすかに揺れた。
「俺達はまた……戦うのだろうか?」
まるで独り言のようにつぶやいた凱に衝撃を受けて、ザイアンは勇者の横顔をまじまじと見つめる。どこか儚げな表情の凱だったが、まるで悲しむかのようにどこかを見つめる。
俺達はまた戦うのだろうか?その言葉が――重い。とてつもなく。
二つに分かれる?『流星』と『逆星』に?
流星なら弓を手に取り、その弓弦を引いて?
逆星なら銃を手に取り、その引き金を引いて?
ああ、この人にはこれ以上聞くまでもないのだろうなと、ザイアンは感じ取った。始めから、凱は勝つことを望んでいるわけではないのだ。かといって、敵を滅ぼすことを望んでいるわけでもない。
オレ達は人間だ。戦争という設備の一部でもなければ、歯車を廻す消耗品でもない。
そして、何か意を決したように、ザイアンはある事実を凱に語るのだった。
凱はザイアンを信じて話してくれた。ならば、自分も凱を信じて話すべきではないか?
「オレは……父上の居場所を知っています」
凱の視線がザイアンに向く。
「――――――――アルサスです」
今度は、銀の流星軍に一筋の光明が訪れたのだった。
「どうか……父上を……いや、フェリックス=アーロン=テナルディエを……止めてほしい!」
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