第20話『混迷の時代の願い星〜勇者の新たなる旅立ち』【Bパート 】
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年、ティグルと年が近いからなのか、年相応な面が僅かながら見える。そんな二人の様子を遠巻きながら、リムやルーリック達は静かに見ていた。
「それでも、それでも俺は『仕方がない』と思っている。想いを描き、形作る為には避けて通れないから」
腰に据えられたアリファールの紅玉を見やり、凱はつぶやく。
「戦争もまた……避けて通れない道なのだろうか?」
そのような問いに、誰が答えることが出来るのだろうか?
アルサスを守る為に、ジスタートの力を借りたティグル。ブリューヌを護る為に、アルサスを焼き払おうとしたフェリックス。
あの時、あの人がああしなければ、こうはならなかった。結局、人は刷り込まれた本能のように『自分』を取り巻く環境こそが大事だと信じ、他者の介入を妨げることを止めようとしない。
『ディナントの戦い』――あの戦いがティグルの運命を、テナルディエ公爵の人生を大きく変えてしまった。
戦争という大波に呑まれ、『敵』を倒すことがティグルにとってアルサスを、テナルディエ公爵にとってブリューヌを護る行為だと信じて戦い、ザイアンーーこれまでそんな疑問を抱いたことがなかった。
「だから貴方は……父上とヴォルンが……いや、ティグルヴルムド卿が戦ってしまったことは……『仕方がない』と?」
凱から、そして今度はザイアンが『仕方がない』という。その至極簡単な言葉に、フィグネリアには重くのしかかる。あの時の刃がヴィッサリオンに刺さってしまったことが『仕方がない』であってほしいと――
「自分だけの世界で暮らし、外界やそこで起こることに無関心でいるのは……結果的に自分の世界を滅ぼすことに繋がる……」
ブリューヌの果ての丘台――アルサス。ブリューヌ全土を見渡す眼からすれば、見ようによってはとてつもない軍用価値が垣間見える。
しかし、外界で無関心でいる狭い視野では、そのような危機感など抱くはずもない。
ディナント平原を見るがいい。数多の因果と輪廻を繰り返したところで、結局人は神意を学ぼうとしない。かつて貴様等が『治水』を巡り、『銃火』に回帰したその末路を――。
ペルクナスを筆頭にする、天上を見守る12柱の神々に恥じる事なく、人は同じ存在を喰らいあっていく。ゆえに神々は理解できない。同じ信徒の戦士たちが、なぜ同胞を消し合っていくのかと。
同じではないと考える為に、敵と侵略者を同等と考えてしまうからだ。だからいくら殺しても構わないと。
――逆星が真の自由と平和を与えよう!流星に願おうと決してかなわぬ『理想世界』を!!真の諸悪『弱者』を殲滅せよ!!―
父の公約宣言が耳によみがえり、不意にザイアンは身震いする。
「だから俺は『逆星』と戦う。砕かれてもなお輝きを失わない『流星』の為に」
「……」
ザイアンはつい、自分の喉
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