第20話『混迷の時代の願い星〜勇者の新たなる旅立ち』【Bパート 】
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ない。この人たちもヴィッサリオンさんと深い連糸が絡んでいる。
「フィーネ……どうして俺に話してくれなかった?」
別に聞かれなかったから、と言えなかった。半分、必要以上に話す必要もなかったのだが、本当は自分から話をしたくなかったというのもある。
知っていれば、凱もリムとフィーネを会わせようと思わなかった。
――本音を言えば、誰にも心のうちを覗かれたくなかった。
場の空気を敏感に察知したジェラールが、無理に話題を変えようと『別件』を持ち出した。
「そういえば禿頭のブリューヌ人、あなたはガイ殿に何か話があったのでは?」「ああ、そうだった」
ほんのわずかだが、その場の雰囲気がかすかに緩む。それはあまりにむ不器用な持ち出し方だったが、突然の再会に『熱』を帯びた両者――フィーネやリムにとってありがたかった。
「ガイ殿に会わせてくれといって、先日ここへやってきた人物がいるのです」
「俺に?」
凱は自分の顔に人差し指を差した。
「誰なんだ?一体――」
皆は困惑したかのような……そして――一同に息を呑んだ。
「――――ザイアン=テナルディエです」
そして今度は凱が息を呑んだのだった。
【別幕舎にて――ザイアン=テナルディエとの再会】
リムにとって、フィグネリア以上に因縁浅からぬ再会はなかった。
だが、それは金色の髪の彼女だけにかぎったことではない。
ザイアン=テナルディエ。彼の存在は、ティッタにとって恐怖の対象でしかなかった。
兵に囲まれたままのザイアンが、やがて姿をあらわしていく。
「どうしてここが……いや、何故ここへ来たんだ?俺に会いたいとはどういうことだ?」
顔を合わすなり、凱は前口上を言わず、単刀直入にザイアンへ問いを放った。
それは、かつてテナルディエ軍によるアルサス焦土作戦の被害者であるティッタや、介入者達のリム、ルーリック、事前策を整えたマスハス達を考慮しての事だった。
さしもの凱も、ザイアンがティッタにしたことを思い返せば、到底許すことなどできない。あの時は、ザイアンを無傷で解放するのがティッタの願いだったから、あの場にいた全員はザイアンを見逃したのだ。誰しもが、ザイアンに報いをくれたかったはずだ。
(このザイアン=テナルディエ……自分の置かれている立場を分かっていて、ここへ来たはずだ)
そう凱の推測通り、身なりは甲冑を外され、武器も当然装着していない。「させられない」というのもあるが、少なくとも『敵意』は彼から感じられないのも確かだった。
一歩一歩、頼りない足取りだが、力強い意思さえも感じる。その歩みを保ったまま、凱に近づいていく。
――とはいえ、ザイアンを囲む一
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