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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第20話『混迷の時代の願い星〜勇者の新たなる旅立ち』【Bパート 】
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はともかく――今、銀の流星軍の中核を担うリムアリーシャ――リムとフィーネの再会は、少なくとも凱の想像していたのとは、別なものだという事を。
『銀の流星軍』の中枢が集う幕舎の入り口を通る。一声かけて「どうぞ」との返事を確認し、頭を下げて入場する。
ライトメリッツのルーリック、ブリューヌ貴族、マスハス=ローダントに加えてオージェ子爵とせがれであるジェラール、カルヴァドス騎士団オーギュスト。そして、エレオノーラ姫の傍らに立ち続けてきたリムアリーシャの姿があった。

「ただいま戻りました」
「おお、戻られたか!ガイ殿!」

マスハスの声を聞いて、凱は幾らか頬を緩めた。直後、何やら困惑したような表情を見せ、全員に視線を配る。
気まずそうに凱がルーリックへ声をかける。

「一体どうしたんだ、ルーリック?」
「は、はあ……それが……それよりもガイ殿、そちらの女性は一体?」
「ああ、先に紹介するよ。彼女は」「―――――フィーネ」

凱の紹介を遮る形で『隼』の愛称を告げたのはリムだった。

「どうしてあなたが……ここに……」

普段から見せる冷静さの欠片もなく、かすれた声を発するのがやっとだった。その表情は愕然とし、眼を見開いてこちらを見ている。動揺が、艶のない金髪が繊細になびく。まるで波間に揺れるさざ波のように。

「久しいな――リム」

どうしてフィーネがリムを知っているのか、ふとした疑問は僅かな思案で払拭される。
以前リムが話してくれた、彼女自身の過去を思い出す。まだエレンが戦姫に選ばれる以前、二人は『白銀の疾風』というジスタートの傭兵団に所属していた。ヴィッサリオンという団長を務める男は、エレンとリム――二人の義父として育て、ある戦場で討ち取られたと聞いた。その時、まだリムは凱に『乱刃のフィーネ』の事を告げていなかった。そして、フィーネもまた凱にエレンとリム――ヴィッサリオンの確執も。

「初めまして。銀の流星軍副官を務める、ルーリックと申します」

そして順繰りに挨拶をするマスハスやジェラールの対応をみて、流石にリムも幾何かの冷静さを取り戻す。改めてリムも自分がエレオノーラ様の副官を務める立場の自己紹介をする。
終えて、再びリムは感情に身を委ねて『隼』に問う。

「なぜ……あなたが」

場の空気が凍り付く。リムの問いはまるで、精神と時を凍てつかせる吐息のようだ。

「エレン―――ヴィッサリオン―――そう言えばわかってくれるんじゃないか?」
「あなたが……二人の名前を口にするなど!?」
「リムアリーシャさん!」

口で語るより、意思と態度で示された会話の流れ。
凱には、二人の隠された事情など分からない。
だが、リムの今の剣幕と、静かに語る『隼』の囀りが、凱に確信と核心を抱かせた。
間違い
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