ついにその時が来るのか
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静な部分が『確かにそうだ』と摩耶姉ちゃんの言葉を肯定し、私は不思議な踊りをなんとか止めたくて、テーブルに自分のおでこをゴツンとぶつけてうつ伏せた。でも。
「……へへ」
「?」
「ゆきおぅ……ニヘラァ……」
「よだれ垂れてんぞ」
ダメだ。自然と顔がにやけてくる。このあとの……桜の木の下に行ったあとのことを想像して、顔がいやらしくにやけてしまう。
「へへ……えへへ……ゆきおぅ」
「とりあえずよだれ拭けよ」
「えへへ……へへ……ゆきおぅ……ゆきおぉお……ニヒッ……ウヘヘヘヘ」
「だめだこりゃ……」
「てやんでぃ……おうおうゆきおぅ……ほっぺたあったけぇぞぉ……くちびる、ぷるぷるじゃねーかぁべらぼうめぇ……グヒヒヒヒヒヒ」
「ただのエロオヤジじゃねーか……」
摩耶姉ちゃんの諦めの声をバックに感じ、私は、後に来るであろう、ゆきおとのときめきの時間を想像して、ただただ顔をゆるめて、ドキドキすることしかできなかった。
摩耶姉ちゃんに『あたしは先に帰るぞー』と食堂に置き去りにされてからも、しばらく食堂で一人で、気色悪いタコ踊りを踊り続けた。クスクス笑ってないで、誰か止めてくれよ。
一度部屋に戻り、念入りに歯磨きをした私は、ゆきおの待つ、宿舎前……桜の木の下に向かう。お化粧はー……別にいいか。口紅つけて、ゆきおの唇につけちゃうのも、なんだか申し訳ないし。
――涼風ちゃんは元がかわいいんですから、
ナチュラルメイクでもっとかわいくなりますよ?
榛名姉ちゃんは常々そう言ってくれるけれど、私とゆきおは、そうやって取り繕う関係でもないしな。……でも、ちょっとはお化粧した方が、ゆきおは喜んでくれるのかな……どうしよう……まぁいいか。
高鳴る胸なんて自分には無縁だと思っていたけれど、いざその時が来ると、やっぱり私も女の子だったようだ。心地良いドキドキを胸に感じながら、少しの不安と大きなワクワクに身体を委ねて、私は桜の木の下への道を急いだ。
途中、金剛型のみんなの部屋の前を通った。
『雪緒くんは! 榛名がッ! 許しませんッ!!』
『ちょ……榛名……洒落になってない……』
『やめるのデス! 比叡がブラッドフェスティバルになってマス!!』
『榛名!? それ以上は比叡お姉様がッ!?』
ドアの向こうからは、なんだかえらく大変そうな悲鳴が聞こえてきた。巻き込まれても面倒だし、聞かなかったことにして桜の木の下に向かった。
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