ついにその時が来るのか
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んごい綺麗でさ」
「はぁ」
「つい……チューしちゃった」
「ふわぁ〜……」
私が昨日の衝撃のチューを報告した途端、榛名姉ちゃんは自分の胸の前で両手を合わせて、ほっぺたをほんのり赤く染めて、すごく嬉しそうに微笑んでくれた。それはまぁいいんだけど……。
「榛名、感激です!」
……なぜ感激?
「でも、それがどうかしました? 相談?」
「うん」
「何か困ったことでも?」
「うん」
私は昨日の事の顛末を榛名姉ちゃんに、至極冷静に話してみた。おでこにチューされたゆきおが女の子みたいな悲鳴を上げて、内股でその場から走り去っていた、あの衝撃の結末……
「ゆきおやべーだろ……なんだその女の子っぷり……ブファファファファ……!!」
ちょっと摩耶姉ちゃんは黙っててくれよぅ。涙目でお腹抱えて笑ってないでさ。
「んー……恥ずかしかったんですかねぇ……?」
そう! そういう話がしたいんだあたいは……! 人差し指を顎に当てて可愛く考えこむ、榛名姉ちゃんの女子力を摩耶姉ちゃんも見習えよっ。
「そうなんだよー。それで、今日はなんだか顔を合わせ辛くてさ」
「んー……確かに、そういう反応されれば顔を合わせ辛いですよねぇ」
「これじゃどっちが女がわかんねーよッ! 男か!? お前男か涼風っ!? アヒャヒャヒャヒャ!!」
よし摩耶姉ちゃん。あとで夜戦演習やろう。夜の駆逐艦の恐ろしさを教えてやるから。
なんて、私達にしては珍しいガールズトークに花を咲かせていたら……
「あ、ほら。みんないるよ?」
「は、はい……」
二人の聞き慣れた声が聞こえ、その途端に榛名姉ちゃんの顔が鋭くなった。なんだろう……この、ヲ級とかレ級とかそのへんの、ものすごい強敵の深海棲艦に出会った時のような、緊迫感あふれる榛名姉ちゃんは……
「あ、ゆきお!」
「や、やあ……」
「……と、比叡さんっ」
「涼風ちゃんこんちわ! 摩耶さんも!」
「おーう。やっほーひえーい」
声がした方を、私と摩耶姉ちゃんが振り返る。その視線の先にいるのは、ゆきおと比叡さんだった。二人ともその手にお昼ごはんのざるそばが乗ったおぼんをその手に持っていて……
「あれ? 雪緒くん?」
「う、うう……」
「どうしたの?」
ゆきおは私と目が合った途端、顔をまっかっかにして、私からぷいっと顔を背けた。ちょっとやめてゆきお……なんかあたいまで顔がまっかっかになってくる……。
かと思えばゆきおは、ささっと比叡さんの陰に隠れる。そして、まるで物陰からこちらの様子を伺う小動物のように、こっちをジーッと見つめてる。顔真っ赤にしながら。
「……比叡お姉様……ッ!」
「ん? 榛名?」
「なぜ……ゆきおくんと?」
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