第4章:日常と非日常
第124話「男に戻るまで」
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思うわ」
割と楽しい時間だった。
緊張しながら身近な事を話す帝は、初々しさがあって可愛らしく見えた。
私も優奈として好物とか色々話したりしたし…。
「……な、なあ!」
「…?」
玄関に向かう私に、帝は意を決したように話しかける。
「…俺、頑張るから…!もう、挫けないように頑張るから…だから…!」
「…ふふ、その時は、褒めてあげるわよ。“頑張ったね”って」
「っ〜〜〜!」
顔を真っ赤にして、帝は頷く。
「じゃあ、またいつかね。帝」
「…あ、ああ!またな、優奈!」
手を振り、私は帰路に就く。
見えなくなるまで、帝はずっと私を見送っているみたいだった。
「…お待ちください」
「…何かな?」
帰路の途中、後ろから話しかけられる。
「貴女は…何者ですか?」
「それ、どういう事かな?私は優輝の親戚なだけだよ?」
「誤魔化さなくても結構です」
…うーん、どうやらばれてるみたいだね。
どこまでわかってるかは分からないけど。
「いくら好きな相手とは言え、彼が親戚というだけの貴女を宛がうはずがありません。…いえ、こんな初歩的な部分は省きましょう」
「…へぇ」
「……貴女は、どのような“存在”なのですか?」
やはり神謹製のデバイスなだけある。…そこまで気づけるなんて。
…でも、答える義理はないよ。
「私は私。志導優奈だよ。それ以上でも、それ以下でもない」
「…飽くまで答えないのですか」
「まぁ、悪い事は企んでないさ。それに、私は帝の“可能性”を信じてるよ」
「……………」
無言で視線を交わす私とエア。
「…マスターを気に入ってるのですね」
「だって、あそこまで照れられると可愛く思えるじゃん」
「新たな一面と言う意味では同意しますが…。まぁ、いいです。どの道ここで暴き切るには情報も足りませんし、引き下がります」
そういって、一歩引くエア。まぁ、当然だね。
「ですが、何か事を起こすのであれば…」
「分かってるって」
「……では、失礼しました」
被せるように私が言うと、エアはそういって帝の家へと帰って行った。
「…帝の気に入ってるのは、本当だよ。…それこそ…」
踵を返し、改めて帰路に就く。
この後は、帝は立ち直ったと椿にも伝えて、そのまま就寝した。
…帰り際の私の頬が赤かったのは、きっと夕陽のせいだろう。
「………優奈…!なんでこんな事を……!」
翌日、人格と性別が戻った僕は、黒
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