第4章:日常と非日常
第124話「男に戻るまで」
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た嘘だ。
一応それらしくしてあるから、疑われる事はなさそうだけど。
「私としては、あの時会っただけで、名前も知らないのだけど…どうしてかな?」
「え……っと…それ、は……」
少し顔を赤くしながら、しどろもどろに言おうとする彼。
ふふ、普段の帝とは全然違うから、ギャップを感じるわ。
「とりあえず、先に自己紹介しましょう。私は志導優奈。優輝から知らされてると思うけど、優輝の親戚よ」
「…王牙帝です…」
拾ってきた猫のように大人しく、小声でそういう帝。緊張してる?
「…んー、以前会った時とだいぶ違うね。今は意気消沈してるからって言うのもあるけど…ふふ、どこか逞しくなったように見えるよ」
「っ……!」
私の言葉に気まずそうにしながらも少し嬉しそうにする。
あー、本当分かりやすいね。そこが可愛らしく思えるよ。
「まぁ、世間話は後回しにするとして…。何があったか、全部とは言わなくても教えてくれるかな?私を宛がったのは、無関係な第三者だからだろうし」
「……わかった」
本当は、私の事が好きだから、話してくれるだろうって理由なんだけどね。
…立ち直らせるためとはいえ、割とゲスいね、私。
「…あまり、上手く言えないんだが…」
色々誤魔化していたけど、要約するとするならば…。
あの時、あの人形を消滅させた存在、及び力を見たのが原因との事。
非現実的な“現実”を思い知らされて、自分の今いる状況が怖くなったらしい。
自分は転生者で、ここは“リリカルなのは”の世界。そう思っていたんだろうね。
だけど、“そうではない”と思わされる存在が現れた。
“何とかなる”という楽観的思考もできなくなって、こうして意気消沈したとの事。
そして、あのような存在がいた事で、とんでもない事に巻き込まれている…そう考えてしまって、自分にはどうしようもないと、怯えてしまうようになったのだろう。
実際に私に話してくれた事は、もっと違うのだけどね。
これは私が知っている事で補完しただけだから。
実際に話したのは、“現実”を思い知らされて、自分にはどうしようもできないと怖くなってしまったとか、そう言う事。
「……そっか……」
「………悪い、あんたにこんな事を話した所で…」
気まずく俯く帝を、黙らせるようにそっと抱き寄せる。
「……ぇ……?」
「…大丈夫、大丈夫だよ」
「な、なにを…!?」
突然の事に彼は驚いて私を引き剥がす。
「あー、ごめんね?近所の小さい子と同じ感覚であやしちゃった」
「俺そこまでガキじゃねぇよ!?」
顔を赤くしながら帝はそういう。…よし。
「ほら、元気になった」
「あ…っ
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