第4章:日常と非日常
第124話「男に戻るまで」
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」
分かり辛い言い回しで答え、椿は半目で見る。
「まぁ、いいわ。でも、貴女は優輝ではなく優奈として今はいるの。だから不用意に外出しないでちょうだい。一応親戚という言い訳はできるけど…わかってるわよね?」
「分かってるって。もう、心配性だなぁ」
「貴女が飄々とした態度を取っているからよ!」
“以前はこんな感じじゃなかったはずなのに…!”と頭を抱える椿。
初めて“優奈”になった時と比べて、色々と違っていたのだ。
「本当…色々な点において優輝とは違うわね…」
「あはは。案外表裏一体かもしれないね。優輝が持ってない“もの”は、私が持っていたりして」
「っ……!」
冗談めかして言う優奈に対し、椿は目を見開く。
「…どういう、事かしら」
「んー?何が?」
「優輝が持ってない“もの”を、貴女は持っている…。貴女は、優輝が“代償”としたモノを知っているのかしら?」
まるで、その事を言っていたかのよう。
そう感じた椿は、真剣な面持ちで尋ねた。
「まさか!私は適当な予想で言っただけだよ。そこになんの他意もない」
「……そう」
数々の経験から、椿と葵は“嘘”を見抜く事ができる。
ましてや、神の分霊たる椿は嘘だけでなくその言に込めた“真意”も見抜ける。
尤も、相手によっては見抜けない場合があるが…。
ともかく、その椿でも優奈の言葉には他意がないと思えた。
常人が見れば、明らかに他意がありそうな言い方にも関わらず…だ。
「まぁいいわ。夕食にしましょう」
「了解っと」
もう一度溜め息を吐き、椿は諦めたようにそういった。
葵も椿がそう言ったのを見て探ろうとするのをやめた。
…確かに、優奈に他意はなかった。ただし、それは“知らなかった”だけ。
優奈は優輝が何を“代償”としたのかは分からない。元々が一つだったために。
優奈は本当に“予測”として言っただけだった。
それが自身にある“知識”から述べた、“正解”と言えるモノとして。
それは、一種の言葉遊び。
椿の言葉に対し、優奈は“代償”が何なのかは知らないと答え、だが予想していた事は肯定した。そこへ、“なぜ予想できたか”と言う疑念を隠した。
優奈も当たり前のように言ったため、“真意”と呼べるモノはなかった。
予想できる理由を、ごく自然に、当たり前のように隠し通したのだ。
=優奈side=
椿に色々言われた翌日。私はある家に向かっていた。
ちなみに、今回は事前に説明はしてるので、椿に小言を言われる事はない。
「そろそろ立ち直
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