涼風→ゆきお
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「榛名ー! その本、ワタシにも読ませるのデス!!」
「いいですよ? じゃあ回し読み用のものを居間に出しときますね!」
「やめて下さいお姉様!! この比叡……そ、そんなはしたない物語は……ッ!!」
「霧島も、比叡お姉様と異世界から来た年下の少年とのラブロマンス……興味ありますね……!!」
朝。今日も鎮守府はぽかぽか陽気でいい天気。私とゆきおと摩耶姉ちゃんは、今日も三人で朝ごはんの中国粥に舌鼓を打ちながら談笑しているのだが……今朝は、榛名姉ちゃんたち金剛型のテーブルがなんだかいつもよりも騒がしい……。
「榛名さんたち、なんで大騒ぎしてるのかな?」
「わかんねーなぁ……」
すでに食べ終わったゆきおがぼんやりと、にぎやかな金剛型のテーブルを眺めている。金剛型のみんなの賑やかさは、朝の食堂の賑やかさの中でもとびきり郡を抜いており、周辺に金剛型のみんなの楽しそうな声が、キャワキャワと轟いている。
「なー摩耶姉ちゃん、なんか知ってっか?」
「そういや昨日、榛名が妙な本を見つけたって言ってたな」
「妙な本?」
「ああ。小説でな。比叡がヒロインだってさ」
「へー……」
れんげでお粥をすくい、その中の干し貝柱を口に入れ、『んー……』ともちもちほっぺになっている摩耶姉ちゃん。あまり興味がなさそうな……
そもそも艦娘の私達が主人公になってる物語の本って何だ?
「なぁゆきお」
「ん?」
「あたいらが主人公の話ってなんだ?」
ここは、以前は鎮守府の外側で生活していたゆきおに聞いてみるべきだ。なんせゆきおは、本をよく読む。ならば、そういう私がよく分からない本事情も知っているのかも知れない。
「えっとね……ぼくは読んだことないけれど、艦娘のファンの人たちが作った、創作物のことじゃないかな?」
「創作物?」
「うん。艦娘の事が大好きで、艦娘に憧れるあまり、艦娘の人たちを題材にした物語を書いて、それを本にしたり、インターネット上で公開したりする人たちがいるんだよ」
「へー……あたいらがねえ……」
「金剛型っていえば、いわば艦娘の花形ポジションだからね。ファンも多いし、そういうものがあってもおかしくないんじゃないかな?」
「ふーん……」
和やかに分かりやすく説明してくれる笑顔のゆきおの向こう側では、榛名姉ちゃんを含む金剛型の4人が、やっぱり今もやいのやいのと騒がしい。特に騒がしいのが比叡さんだ。
「そこで勘違いをした比叡お姉様が……」
「ひえっ……ちょ……榛名……ほんとやめて自分じゃないのに恥ずかしいっ!」
「比叡もいい加減ワタシにくっついてないで、その話の比叡みたいに年下の恋人でも探すといいデス!」
「やめて下さいお姉様!! 私は金剛お姉様一筋ですってば!!!」
こんな具合
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