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ゆきおがあたいにチューしてくれない
涼風→ゆきお
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、油断している私の目の前に、同じくお風呂上りのゆきおが現れた。朝はあんなにキツい言い合いをしたのに、今はもう上機嫌で話をしてくれる……さすが私と二人で一人のゆきお。

 ……でも。

「奇遇だね〜。ぼくもさっきあがったんだ〜」
「そ、そうなのか!?」
「?」

 朗らか笑顔でそうこたえるゆきおは、しっとりと汗ばんでいて……

「だけど、やっばりお風呂上りだから熱いね……」
「!?」

 いつもの室内着の胸元が、いつもよりちょっと開いて、見ている私はなんだかドキドキしてしまう……それに、

「な、なぁゆきお?」
「ん?」
「なんで今日、カチューシャしてるんだ?」
「ぁあ、これ?」

 ゆきおは、なぜか榛名姉ちゃんとお揃いの、金剛型の電探カチューシャをつけていて、おでこが全開になっていた。

「ほら、ぼく髪が長いでしょ?」
「……」
「で、顔洗う時とかお風呂入るときとかに、髪が濡れたおでこにくっついて、気持ち悪かったんだよ」
「……」
「それで、この前榛名さんにその話したら、『じゃあ榛名の電探カチューシャつけてみますか?』って言われて……」
「……」
「つけてみたら意外と便利で、お風呂上りに……って、涼風?」
「……」
「……どうしたの?」

 正直、言いたいことは色々とある。『なんであたいに相談しないのか?』とか、『そもそも髪切ったりしないのか?』とか、『榛名姉ちゃんのカチューシャをあたいの前でほくほく顔で装着するか?』とか、そらぁ色々と言いたいことがある。

 でも、それよりも何よりも、なんで榛名姉ちゃんの電探カチューシャが、ゆきおにそんなに似合ってるんだ? ゆきお、男だろ? なのになんで、そんなに金剛型の電探カチューシャが似合ってて、しかもかわいいんだ?

「ゆきお……」
「ん?」
「……カチューシャ……似合ってんな」

 言ってしまった……ポロッと。

「う……」
「……」
「あ、ありが……と……」

 私の本心からポロッとこぼれ出た『似合ってる』を受けて、ゆきおは恥ずかしそうにうつむき、顔が真っ赤っかになってる。両手の人差し指をもじもじと突き合わせて……

「す、涼風も……」
「う、うん……」
「お風呂上り、す、すごく……」
「……」
「……な、なんでもないっ」

 そう言って、恥ずかしそうに私から顔をぷいっと背けるその姿は、どこからどう見ても女の子にしか見えない……摩耶姉ちゃんよりよっぽど女の子してる……。

 ……ゆきおの唇が目に入る。

「……」
「……」
「……?」
「……」

 なんか……キレイな薄桃色で、ぷるってしてて……どうしよう。なんかすごく……

「さわりたい……」
「さわりたい?」
「い、いや、なんで
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