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ゆきおがあたいにチューしてくれない
涼風→ゆきお
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はさ。自分が出てる本、読んだことあるか?」
「ぁあ、そういやあるな」

 意外だ……摩耶姉ちゃんが本を読むとは……自分から聞いておいて失礼だけど。

「どんな話だったんだ?」
「なんかしんねーけど……あたしらの世界が実はゲームの世界で……あたしは、その鎮守府のジジイ提督の嫁だったな」
「へー……おじいちゃん提督ってのもなんだか楽しそうだなぁ」

 聞くところによると、摩耶姉ちゃんはその話のヒロインではなく? 主人公のおばあちゃんの生まれ変わりだかなんだか? 的な存在らしい。私には難しくてよくわからなかったが、読んだ本人の摩耶姉ちゃんも、実はよく分からなかったと言っていた。それ、読んだ意味あるのか?



 朝食を済ませて今日の出撃を終わらせた後、私は榛名姉ちゃんの部屋に行き、件の比叡さんの本を貸してもらうことにした。金剛さんと霧島さんはすでに読んだ後らしく……

「ヘーイ涼風ー! うちの比叡のラブロマンス、堪能するといいデース!!」
「デュフ……比叡お姉様が……まさか年下フェチだとは……オフッ」

 と、慟哭しつづける比叡さんを背景に、いやらしい笑みを浮かべながら貸してくれた。その様子を眺めてると、なんだか気の毒な気もするけれど……

「ぁぁああああああ……私は金剛お姉様一筋なのにぃぃいいいいいい」
「なぁ榛名姉ちゃん」
「はい?」
「比叡さん、血の涙を流してっけど……いいのかな……?」
「はい! 榛名は大丈夫です!!」

 ……いや、榛名姉ちゃんじゃなくてさ……

 眩しい笑みをこちらに向ける榛名姉ちゃんの背後では、今も現在進行形で、比叡さんが金剛さんと霧島さんにからかわれているようで……

「ぷぷぷ……比叡、どこかで弟が待ってるデスヨ?」
「この霧島にも、ぜひ弟を紹介して下さい! ぷぷぷ……」
「うがー!!!」

 と金剛型の三人がくんずほぐれつでもみくちゃになっていた。榛名姉ちゃんはそんなみんなの様子を眺めつつケラケラと笑っていたが、その目はなぜか笑ってなかった。



 さて……私はそのまま自分の部屋に戻り、榛名姉ちゃんから借りてきたその本を読むことにする。本のお供は苦いお茶と豆大福。私は絶品豆大福を頬張り苦いお茶をすすりつつ、その本『姉ちゃんは艦娘』とやらを読みふける。

「おお……比叡さん……」

 内容はさておき……私は、あるシーンに目を奪われた。



――ちゅっ
「……」
「……」
「……ぷはっ」
「ふぅ……」
「……プッ」
「……クスッ」
「ぷふっ……ねえちゃん」
「クスクスッ……なーに?」
「案外……ふふっ……簡単だね」



 比叡さんは、番外編の話で、自分の弟であり恋人でありダンナ様になった主人公の男の子と……そのー
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