第六章 Perfect Breaker
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某月某日
赤銅の翼による、巨大空中要塞ラピュタの侵攻
その、避難所。
「お母さん、お父さん・・・・・」
「ん、どうしたんだ?嬢ちゃん」
「ちょっとはぐれちゃったの・・・・」
「迷子かー」
「お母さんたちが」
「・・・この避難所も大きいからなぁ」
少し不安そうにしながらも、迷子なのは向こうだと少しずれたことを言う少女と、その少女に話しかける男。
歳は二十代後半か、もしくは三十代になったところか。
青年、と言うよりはもう少し大人びている。
その男はここで会ったのも何かの縁と言い、少女の親を探してあげようと一緒に歩き出す。
が、少女の親はすぐに見つかった。
探し出して五分と掛からずに、やってきたのだ。
「お母さん!迷子にならないでよぉ」
「それはお前だ、汐」
少女――岡崎汐は、母である渚に飛びつき、父である朋也に注意されていた。
ありがとうございます、と二人は頭を下げ、汐はバイバーイ、と手を振って男と別れる。
「回収、と」
三人の姿が見えなくなってから、男は人差し指を立てる。
そこには、綿毛にも見える、小さな光がフヨフヨと浮いていた。
それを小さな小瓶に入れ、懐にしまう。
次の瞬間、男の姿は他の避難者に紛れてしまい、そこから消えてしまっていた。
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某月某日
鴻上ファウンデーションという企業が現れたころ。
山に、一人の男が足を踏み入れていた。
そう高い山でもないのだが、子供だけで登るには、少し高い。
今は春の入り口。
もう少しで、桜も咲き乱れる時期だ。
だが、この山はいまだ、その大部分に冬の景色を色濃く残している。
所々は雪も溶け始めているものの、基本的に気温の低いこの街では完全に溶けることはないのだろう。
ましてや、ここは山頂。
ここは森の木々も開けており、一面雪景色だ。
その中心に、大きな切り株がある。
昔は大樹が、それこそ森の主であるかのように植わっていたのだろうが、今ここにあるのはそうであったと予見させるような大きな切り株しかない。
そこから、ちょこんと小さな枝が伸びていた。
真上に伸びたそれは、また新たに成長しようとしている、大樹の新しい姿。
ザフ、ザフ、ザフ、ザフ、ザ・・・・
男はその気の元へと辿りつき、膝をついてそれをしげしげと眺める。
そして、横に伸びた小さな枝に手をかける。
長さは10センチほどで、太さも爪楊枝三本分くらいしかない。
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