44話 取るべき道
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ムロ中佐が起こした奇蹟の波に乗り利用したのかもしれん」
シロッコが少し無念さを滲ませた。そして再びスレッガーがパンドラボックスについて質問した。
「何故ですかい?パンドラボックスは人の作ったものでしょうが。破壊できないと?」
「蓄積された力はおよそ数十万の機体装甲密度を秘めていると考えたらいかがかな?」
スレッガーは舌打ちした。「厄介だな」と一言。ブライトがシロッコに尋ねた。
「対策は?」
シロッコは少し笑い、頭を掻いて答えた。
「とても恥ずかしい話だ。ごくシンプルだ。世界が一つとなってパンドラボックスに反抗する負荷を掛ける。そしてサイコミュを棄てる。それで今以上に被害は大きくならずに収束していくのでは・・・と思う」
「思う?」
「憶測でしかないのだ。オクトバー技師も言った話だが、ニュートンの法則を無視した代償が、埋め合わせが世界に起きた事象だという仮定であれば、それで落ち着くことができるか否かは森羅万象に掛かっているとしか言いようがない」
シロッコは軽く熱を帯びてブライトに伝えた。ブライトは「くっ」と口びるを噛んだ。その後一つ途中であった質問を思い出して、ブライトは咳払いをしてからシロッコに尋ねた。
「先の・・・ア・バオア・クー落としが成功していたらどうなったのだ?」
「あらゆる事業が止まり、生存を賭けた方向へ世界が強制的にシフトした。地球が滅亡するからな。そこにはサイコミュという技術の発達や利用もひとたび終焉を迎えて、フロンタルらもガス欠で終了だ」
「ガス欠?どうして」
「彼が動けるのは支援あってのことだ。それは未だ世界の権力者が彼を支持するものがいるからだ。支援が切れる為には支援する権力者らが力を失う程の事態が生じる必要があった」
「それが地球破壊だと・・・」
「そうだ。宇宙に出ようが、地球への依存度は未だ高水準だ。地球無くして人類は成り立たない。支援者を取り締まればいいと思うが、そんなことが出来る訳が無い」
ブライトは首を傾げた。シロッコは気にせず続ける。説明を全てできていないからだ。
「我々には権限はなく、権力者は所謂一般市民であり、そして特権階級だ。軍属の我々から見れば、こちらが社会弱者なのだ。そいつらに致命的なダメージを与えて、人類を生き延びる可能性としての一つが隕石落としだったに過ぎない」
「だが、その支援者からの・・・」
「邪魔が入るかと?元より彼らには結束力などない。あるのは各々の小さな利益だけだ。フロンタルは上手くそれを引き出しては燃料を得ていた。それを断つ手段は余りに細かすぎて、費用対効果も得れずに寧ろ全てがダミーであって、本物でもある。隕石落としの結果に危機感はあるが、彼ら1個の力は余りに微小だった」
ブライ
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