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機動戦士ガンダム アルテイシア二次創作
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を並べるということを想像するだけでぞっとしなかった。
 自分が女だからだろうか、とセイラは自問する。この世が破壊と再生で成り立っているならば、男は破壊を象徴し、女は再生を象徴するものかもしれない。観念的な思考を柄にもなく弄びつつ、セイラは眠気が眼を重くしていくのを感じていたーー。

※※※

 この年の11月、ロンドンは例年よりも曇りや雨が多くまた非常に寒さが厳しかった。今朝も小雨が霧のように空中を舞って視界が悪く、曇天がますます気を重くさせた。唯一救いだったのはこれから向かうオフィスが自宅から車で一時間もかからない場所に位置し、迎えの車が送迎してくれる手はずになってくれているということである。
 セイラはいつも通りの白いパンツスーツに身を通して軽く身支度を済ませると、朝食をとらずに玄関先に向かった。彼女の趣味に合わない豪奢な構えの玄関にはすでに男性の秘書が待機していて、セイラの姿を認めると会釈をして笑顔を作った。
「おはようございます、セイラ。今朝もいい天気で。さ、お荷物をお持ちします」
「おはよう、エディ。本当に気が滅入るくらいのいい天気だわ」
 そんな挨拶代わりの諧謔を弄び、二人は黒塗りのベンツへと向かっていく。
 エディと呼ばれた秘書はくたびれた茶色のスーツに結び方を間違えた青いタイをしている一方、その見窄らしい服装からは考えられぬほどの屈強な体つきをしていた。身長は180センチを越える大男で背筋はぴんと延びており、毛先のカールした赤毛に人なつっこい笑顔。年の頃は40代の後半といったところだろうか。腕まくりをしてトランクにスーツケースをしまうその腕には、くっきりと筋肉の筋が刻み込まれている。セイラを車内にエスコートする所作は不器用ながらも様にはなっていた。
 アイルランド系の白人男性のはずだが、日焼けした肌のせいで出身を見極めるのはかなりの困難を極める。職業も初見では肉体労働従事者に勘違いされそうなものだが、これでもセイラの秘書を務めて5年は経つ。彼の過去は全くの不詳で推測でしか判断できないが、彼はおそらく元軍人がそれに近い職業に就いていたのだろうとセイラは踏んでいる。おそらくエドワード・マクフライという名前も偽名であるだろうし、秘書というよりセイラを監視する役目が主業務のはずだ。セイラはこの男に守られていると共に、常に監視されているのを薄々感じていた。つまりは、この男も連邦軍の差し金なのだろう。直接聞いたことはないが、セイラはそう確信していた。
「新しい仕事があります。それも相当なヤマです。前にお渡しした11月の予定は全てキャンセルにしました」
 5分ほど車道を流したところで、運転席のエディがミラー越しにセイラの方を伺いつつ、そう切り出した。「私の了解も得ずに結構ね。どうせ選択権はないのでしょうけれど」 
 セイラは特別
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