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マイ「艦これ」「みほ2ん」
第71話<イッショー・ケンメー>
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 今後、美保鎮守府は、この二人を基軸に進んでいくのかも知れない……いや大淀さんも思い出した。すると三人か。

「あ……お早うございますぅ」
のそのそと北上が起きてきた。

「おは……」
思わず絶句した私は目を見張った。彼女の頭(髪の毛)は爆発している。そういえば髪も結んでいないから一瞬、別人かと思った。

 しかも帯が緩んでいるらしくユルユルの浴衣は、彼女自身の肩を見せている。気だるそうに座卓の私の対面に座った北上。浴衣の帯を締め直しながら頭をボリボリかいている。寝起きでまだ緩んだ口元からは……ヨダレか。

「おいジュルって……お前、女学生か?」
つい思ったことが口から出た。

「えぇ? 別にぃ」
この屈託の無さも彼女らしい。舞鶴の頃から変わらないな。

「まあ良い」
私は呆れながら言う。でも、こういう態度が許せるのは彼女との付き合いが長い証拠でもある。

北上は、おもむろに話し出す。
「あの深海棲艦さあ、昨日の夜、私の所に来てさ、言ったんだ。『サイドイッチ美味しかった』って。アタシが昔よく作っていた頃のまんまの味だって……」

「昔……」
私は軽く絶句した。それじゃ、やっぱりあの敵は?

そんな北上は窓の外を見た。
「嬉しかった」

 涙は見せなかったが心では泣いているのだろう。そうか……こいつも、いざとなったら信頼できる志士の一人かもな。

 日向が私と北上の、お茶を持ってきた。
「ありがとう」

「あ、どうも」
北上も頭を下げている。

 お茶を置いた日向は何故か、お盆を抱えたまま座卓の横で中腰のまま静止。

「ん?」
……お茶をすすりながら私も止まる。

 彼女は、ちょっと思い詰めた目になった。
「司令……昨晩は大変、失礼なことを申し上げたような気がするのですが……」

「なんだ? 覚えていないのか」
私は、何気なくそう言った。

その反応に、ちょっと狼狽の色を見せる日向。
「すると、やはり?」

私は否定して答えた。
「いや、別にお前からは何も聞いてないよ」

……昨夜は相当飲まされていたんだろう。その善し悪しはともかく酒の席は無礼講だ。

 それでも彼女は、まだ納得いかない様子で、お盆を抱えたまま硬直している。
(こんなところまでも一途なんだな、この娘は)

 私は湯飲みを机に置いて改めて言った。
「お前は、お前らしく常に全力で一生懸命に前進し続けてくれれば良い。そういうお前が、私は大好きだから」

「……あ」
「へ?」
ほぼ同時に妙な反応をする日向と北上。

(あ、しまった!)
 ……最後の一言は言い過ぎだな。

案の定、彼女はまた真っ赤になった。
「失礼します」

ちょっとフラフラしながら立ち上って、
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