抽選会
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あそこのブロックに入ると厳しいな)
成長したとはいえ、全国制覇を達成しさらにはレギュラーの大半が三年生。絶対的な王者を前にしては明らかに分が悪い。
(せめて全国までは当たりたくないが、そうも言ってられないな)
彼女たちの目標は廃校阻止が一番だが、もちろん全国制覇も掲げている。そうなれば必然的にUTXを相手にしなければいけないわけで・・・
ガッ
「希!!顎を上げるな!!」
頭の中で格闘しつつ選手たちの悪い点も指摘する。監督業の難しさに胃が痛むが、それも大好きな野球を思えば屁でもない。剛は席から立ち上がり、バッティングゲージの後ろから選手たちを指導していた。
その翌日の正午、剛を筆頭にした少女たちはある場所へとやって来ていた。
「うわぁ!!人がいっぱい!!」
「ここにいる人たちみんな野球をやってる方なんですよね」
平日にも関わらずその場所は制服姿の女子高校生たちに埋め尽くされていた。彼女たちがやって来ているのは夏の本戦出場校を決める関東大会の組み合わせ抽選会。ほとんどの選手たちが三年間の集大成となる大会のため、大事な抽選会にはチームが揃って参加することが多い。
「見て花陽!!あそこにいるの千葉経済学高校の須川さんじゃない!?」
「にこちゃん!!あっちには群馬市高がいるよ!!」
強豪校や有名選手を見つけては歓喜の声を上げているにこと花陽。だが、そんな彼女たちにも多くの視線が向けられていた。
「ねぇ、あれ東日本学園の天王寺さんじゃない?」
「本当だ、なんでこんなとこいるの?」
「あの子達の引率ってことかしら?」
甲子園の雄天王寺剛がいるとあって音ノ木坂への注目度は非常に高い。しかし、それゆえに選手たちへの緊張感は大きくなる。
「なんだか緊張するわね・・・」
「胸がドキドキしてるよ・・・」
「なんだかワクワクするニャ〜!!」
「あ!!凛ちゃん走り回ると危ないよ!!」
どこかに走り去ろうとする凛を片手で捕まえる剛。足をバタバタさせているその人物を元の位置に戻すと、順番が来たので受付を行い会場に入る。
「この辺に座るぞ。10時から抽選だからそれまでに席に戻っておくように」
そう言って席から離れていく彼は、スマホを取り出しどこかに電話をかけていた。
「はぁ、もうすぐ大会が始まっちゃうんだね」
「まだ抽選会ですよ、ことり」
全員いよいよ対戦相手が決まるとなると意識してしまい、緊張感が高まってくる。すると、会場の外からざわめきが聞こえてくると、周囲の高校生が一斉に扉の方を向いた。
「え!?何!?」
「何かくる!?」
「まさか・・・」
「もしかして・・・」
それ
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