【継がれゆくもの】
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(───どうしよう、何も見えない……。白眼も、使えないし……。ここは、どこなの? 私、死んじゃったのかな……)
真っ暗闇の中、ハナビはただ独り蹲っている。
(父上は、供を何人か連れて行き先も告げず何日も戻らなくて、捜索隊が組まれたけど見つかったのかな……。ヒナタ姉様は、どうしてるんだろう……。父上が居なくなったのも、私が妙な連中に攫われたみたいになったのも、日向の白眼が関係してるんだとしたら、姉様も危ないかもしれない……。誰か、誰か助けに来てくれるよね……。───情けないな、私……。次期日向当主になるはずの私が、こんな事じゃ……兄様に、ネジ兄様に呆れられちゃうよ……っ)
────ハナビ────
(え……? 今、誰かに呼ばれて……気のせい、かな)
…………ハナビ様…………
(……! 気のせいじゃない、微かに聞こえる……! この声、まさか……ネジ兄、様……?)
ハナビは真っ暗闇の中思わず顔を上げ、立ち上がる。
(やっぱり、何も見えない……。ネジ兄様、どこ…? どこに、居るの…!? 私、怖いの……何も、見えないの…! 助けて、ネジ兄様…っ)
『───ハナビ様』
今度はハッキリと、間近で声がして肩に手を置かれた感覚があった。
「!? やっぱり兄様……ネジ兄様なのっ? 私、気がついたら何も見えなくなってて、白眼も使えないしどうしたらいいか分からなくて…っ。兄様の姿、見たいよ…! 迎えに、来てくれたの? 私、死んじゃったって事なのかな……」
『落ち着いて下さい、ハナビ様。……あなたは、亡くなってなどいませんよ。少し、待って下さい』
間近の従兄のネジらしき声が優しい口調でそう述べたかと思うと、そっと目元に横にした手の平を宛てがわれたように感じ、そこからじんわりと温かさが伝わってくると少ししてその手を離される。
『──ゆっくり、目を開けてみて下さい』
「あ……」
言われた通りにすると、目の前に在りし頃の従兄の姿がハナビの目に映った。
上忍当時の白装束姿で、額当てはしておらず、日向の呪印は刻まれていない。
『久しいですね、ハナビ様。…二年振りくらいでしょうか』
ハナビにとっては従兄のネジは普段無愛想なイメージだが、今目の前に居るネジは従妹のハナビに優しい微笑を向けている。
「な…、何よネジ兄様ってば…っ。私の知らない所で勝手に居なくなったくせに、今さら出て来たって嬉しくなんかないんだからね、バカぁ…!」
ハナビは目が見えるようになった事よりも、言葉と裏腹に大戦で亡くなった従兄に逢えた事が嬉しくて目に涙を浮かべながらネジに抱き付く。
『すみません、ハナビ様……。こういう状況でもなければ、逢いに来
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