月光校庭のエクスカリバー
球技大会
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球技大会
一誠side
−カキーン−
晴天の空に金属音が木霊する。
「オーライオーライ」
俺は飛んできた野球ボールをグローブでキャッチした。
「ナイスキャッチよ、イッセー」
笑顔でグーサインくれる部長。
旧校舎の裏手に草の生えていない少しだけ開けた場所があるのだが、俺たちオカルト研究部の面々はそこで野球の練習をしていた。
いや、悪魔の仕事ってわけでもないんだ。じゃぁなんで野球の練習をしているのか。
「来週は駒王学園の球技大会よ。部活対抗戦、負けるわけにはいかないわ」
部長が生き生きしながら力強く言う。
そう。もうすぐ学校の行事の一つ、球技大会がある。
野球、サッカー、バスケ、テニスなど球技と名のつく競技を一日使って楽しむ行為だ。
種目的にはクラス対抗戦や男女別競技などがあり、その中の一つに部活対抗戦があった。
もちろん、オカルト研究部の参戦も例外じゃない。文科系の部活、体育会系の部活関係も参加しなければならない。
部活対抗戦の種目は当日発表なので、何で対決するかはわからない。人数差的に差のある場合は、少ない方の部活に合わせて人数を決める。
配置的に人数が多くなる種目は、生徒会公認のリザーバーをメンバーに加入して補うんだ。
とりあえず、目ぼしい球技の練習をこうして行っているわけだ。今日は野球だ。
時間帯は夕方、もうすぐ空も赤くなるだろう。いつもなら旧校舎にある部室で夜の活動時間までお茶を飲みながら駄弁っているのだが、最近は体操着に着替えて球技の練習だ。
まぁ、体を動かすことは嫌いじゃないから、楽しいっちゃ楽しいのだが、早朝からトレーニングしている俺からしてみれば、ここ数日は一日ぶっ通しで体力を酷使している。
朝練から学校の授業、部活動の領域で球技の練習に夜の悪魔のお仕事・・・正直死んでもおかしくないぜ。俺が悪魔だから保っているようなもんだ。
「バッティングの練習はこんな感じで良いわね。野球なら四番は小猫に決定」
「・・・・・・了解です」
そりゃそうだ。ホームランを乱発する怪力少女の小猫ちゃんが一番でしょう。誰文句はいえないな。つーか、ドラフトで先発されてもおかしくない打率だし。
「次はノックよ! さぁ、皆! グローブをはめたらグラウンドにばらけなさい!」
えらく気合の入っている部長。すごくハキハキしていて元気だ。
「うふふ。部長はこの手のイベントが好きですからね」
笑いながら朱乃さんが言う。
「分からなくもないです。部長って負けず嫌いですもんね」
「そういうことですわ。まぁ、よほどのヘマをしなければ私たちが負けることなんてないと思いますけれど」
確かに。基本、人間よりも頑丈で強力な悪魔だもんな、俺たち。
当日は加減することを前提で動くらしい
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