月光校庭のエクスカリバー
球技大会
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けど、それでも苦戦するってことはないだろう。
でも、野球のルールや特性を体で覚えておかないとダメだってことで、部長はこうして俺たちに練習を促している。
「頭で分かっていても、体で覚えないとダメよ」
と、部長。そのたくましさはすごい。頭の中でのイメージトレーニングだけで終わらせないところが、部長らしいというか。体のスペック的には俺たちの方が上なんだけど、実戦じゃ何が起こるか分からないからってことで練習している。
「ほら、アーシア! 行くわよ!」
−カーン!−
バットで打ち出したボールがアーシアの方へ飛んでいく。ボールは高く上がり、放物線を描いて落ちていく。
「はぅ! あぅあぅあぅ・・・」
落ちてくるボールをキャッチしようと動いているのだが。
ーゴチン!−
「「あぅ!!」」
あ。丁度、柴崎との中間に落ちそうになったのを、二人が取ろうとして頭がぶつかった。
ボールは地面に落下し、後方に行ってしまった。
「アーシア! 取れなかったボールはちゃんと取ってくるのよ! シバサキもボールに気を取られないでしっかりしなさい!!」
「「は、はい!」」
アーシアはボールを取りに行き、柴崎は元の場所に戻っていった。二人とも共通なのは、運動神経がちょっとだけ下なんだよなぁ。たまに何もないところで転ぶし。
先日のライザーの一件以来、部長は勝ち負けに対して以前より強い姿勢を見せている。
ライザーに負けたのが心底悔しかったのだろう。
あの時、状況的に俺たちの劣勢は確かだった。負けたのが部長のプライドをひどく傷つけちまった。
俺がもう少し使えたら・・・。
「棟夜! 行くわよ!!」
「了解・・・・・・キャッチ」
飛んで行ったボールを棟夜は難なくキャッチした。バッティングも小猫ちゃんの次に打率が良いし、守備でも完璧にこなしている。
「次、祐斗! 行くわ!」
今度は木場の方へボールが飛んで行った。
まぁ木場も大丈夫だろう。棟夜同様に最速ランザーだし、何でも器用にこなす男だ。
と思っていたのだが・・・。
「・・・・・・・・・」
−コン−
ボケーっとうつむいていた木場の頭にボールがぶつかって落ちた。
って、おいおいおい!
「木場! シャキッとしろよ!」
思わず声を上げると、気づいたのか木場が顔を上げて俺の方を見る。きょとんとしていやがる!
「・・・あ、すみません。ボーッとしてました」
下へ落ちたボールを拾うと、作業的な放り方で部長の方へ投げた。
部長もため息をつきながらボールをキャッチした。
「祐斗、どうしたの? 最近、ボケっとしてて、あなたらしくないわよ?」
「すみません」
素直に謝る木場。
だけど、部長の言うとおりだ。こいつ、
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