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翠碧色の虹
第八幕:閉ざされた虹
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さんの表情が一変する。

時崎「凪咲さん、どうかしましたか?」
凪咲「七夏が・・・笑顔で写ってる!?」
時崎「え?」
凪咲「七夏の写真、他にもあるのかしら?」
時崎「はっ、はい!」

凪咲さんに今日撮影した七夏ちゃんの画像を、順番に見せる。画像を見つめる凪咲さんは少し震えているようで、その瞳には、涙が浮かんでいるように見えた。

凪咲「七夏が・・・笑顔で写ってる!!!」
時崎「え!?」
凪咲「こんなに沢山・・・」

俺は、凪咲さんの言葉の意味を、すぐに理解できなかった。

時崎「凪咲さん、それって、どういう事ですか?」
凪咲「ちょっと、待っててもらえるかしら?」
時崎「はい」

そう言うと、凪咲さんは、俺の場を離れ、奥からアルバムを持ってきた。

凪咲「このアルバム、七夏の写真を記録しているのですけど、見て頂けますか?」
時崎「はい! もちろん!!!」

凪咲さんからアルバムを受け取り、眺めてみる・・・。そこには幼い七夏ちゃんの姿が沢山あった。アルバムの時代を進めてゆくと、ある事に気が付いた。更に時代を進めて、それは確信に近くなってゆく。自然と俺の表情が険しくなっていた事を、凪咲さんは見逃さなかった。

凪咲「分かった・・・かしら・・・」
時崎「・・・はい」

アルバムに写る子供が成長するにつれて、写真の枚数が減ってくるのは、然程珍しい事ではない。しかし、このアルバムはそれに加えて、笑顔も無くなっている・・・それ所か、ある時期からの七夏ちゃんの写真は、殆どが目を閉じている。唯一、瞳が確認できる入学式や卒業式らしき写真でも、その表情は険しい。今日俺が撮影した七夏ちゃんの笑顔の写真・・・それは、凪咲さんにとっては、すぐに考えられない事だったのかも知れない。

凪咲「七夏、ある時期から写真を撮られるのを拒むようになって・・・・・」

七夏ちゃんが写真に対して良い思いをしない事は、何となくだが理解できている。そこで俺は提案する。

時崎「今日撮影した七夏ちゃんの写真、このアルバムに加えてもいいですか?」
凪咲「ありがとう・・・ございます・・・是非・・・お願い申し上げます・・・」

なんとか、言葉を絞り出してきた凪咲さんに、俺の心も大きく揺さぶられた。

時崎「な、凪咲さん、そんなに改まらないでください!!」
凪咲「ありがとう・・・ございます・・・」

俺は、このアルバムの中の閉ざされた虹・・・失われた七夏ちゃんの笑顔を、取り戻してあげたいと、強く思うのだった。

時崎「凪咲さん!」
凪咲「はい」
時崎「今日、七夏ちゃんを撮影してて、思った事があるのですけど・・・」
凪咲「瞳の色・・・の事かしら?」

凪咲さんは、俺の次の言葉よりも先に切り出してきた。七夏ちゃんの瞳の
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