第八幕:閉ざされた虹
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
七夏ちゃんとの撮影が終わり、民宿風水に戻る。
七夏「ただいまぁー」
凪咲「おかえりなさい、七夏、柚樹君」
時崎「ただいま・・・で、いいのかな?」
七夏「くすっ☆」
凪咲「いいと思うわ♪」
一時は、どうなるかと思ったが、七夏ちゃんも普段どおり・・・っていう程、まだ普段の七夏ちゃんを知っている訳ではないが、元気になってくれたみたいで安心する。
七夏「柚樹さん、今日は、ありがとうございました☆」
時崎「ああ、こちらこそ、ありがとう。七夏ちゃん!」
七夏「それじゃ、私、海風に長くあたったので、流してきますね☆」
時崎「え? 流すって?」
今日の出来事を、全て水に流されてしまうのかと思い、少し焦る。
凪咲「お風呂の事よ」
時崎「お風呂・・・なるほど!」
凪咲「柚樹君も潮風に当たったのなら、早めに流しておくといいわ」
時崎「はい。そうさせて頂きます!」
俺は、七夏ちゃんがお風呂に入っている間、居間で今日撮影した七夏ちゃんの写真を確認する。写真機からMyPadへ写真データを転送する。しばらくすると、画像の転送が終わったようだ。七夏ちゃんの写真がMyPadに表示される。写真の液晶画面よりも大きく高解像度に映し出された七夏ちゃんは、拡大操作をしなくても、瞳の色は、はっきりと確認できた。
時崎「やはり・・・翠碧色の瞳だ・・・」
撮影した七夏ちゃんの写真のどれもが、翠碧色の瞳として記録されている。ある程度、そんな気はしていたが、少し残念な感覚を覚えるのは、心のどこかに「もしかしたら」という期待もあったからだろう。その期待は、単に俺の要求を満たす為ではない。七夏ちゃんの瞳が、翠碧色以外の色で映っている写真が1枚でもあれば、七夏ちゃん自身に見てもらいたいと思っていたからだ。七夏ちゃんは、自分の瞳の色が翠碧色以外に見えた事が無いと話していた。そんなの写真に写ればすぐに分かると思っていたが、何故今まで見えた事が無いのかを理解できた。俺は、見る角度が変わった時に変化する七夏ちゃんの瞳を思い出しながら、MyPadの角度を変えてみる・・・変わったのは、ジャイロセンサーが反応して画像が90度回転しただけだ。当然、この写真では瞳の色が変化するはずが無い・・・。
時崎「七夏ちゃんの瞳の色の変化は、記録に残せない・・・という事なのか・・・」
俺がMyPadを眺めていると、
凪咲「あら? 七夏の写真!?」
後を振り返ると、凪咲さんがMyPadの画像を見つめていた。
凪咲「ごめんなさい。ちょっと通りかかったら、七夏だったみたいだから・・・」
時崎「あ、いえいえ。今日、七夏ちゃんと写真を撮影してきましたので・・・」
俺は、そう言いながら七夏ちゃんが映し出されたMyPadを、凪咲さんに見せる。すると、凪咲
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ