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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第65話 女子連続失踪事件
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う言うと笑顔になれるくらいには回復出来た様だった。それだけでも今は十分だ。
「ん…… ガンバレよ! とりあえずは元気があることが一番だ。こんな学園でやっていくにもな。 明日からガンバレ! な? つくね」
つくねの腹部に軽く拳を当てる。
「うん! ああ・・・そうだ。・・・・・・・カイト」
つくねは今度は真剣な表情をしていた。
「ん? 何だ?」
何か聞きたい事があるんだろう、と言う事は判る。そして 最初に訊こうとしてきた事がこれなのだと言う事も、容易に想像出来た。
「カイト……は、その……、モカさんのこと、……どう想っているの?」
つくねは、真剣だが それでいてちょっと複雑そうな表情もしていた。
それを訊いて、カイト自身もつくねに倣って一切ふざける事なく答えた。
「……この学園で出会った。かけがえの無いもの、かな。 それは モカだけじゃない。つくねやくるむ、ゆかり、この新聞部。 早い話、この学園で出会った友達全て。そう言っても大袈裟じゃない。……オレにとっては全部、全部かけがえの無い存在だよ」
カイトの表情はかなり深かった。
つくねも ただ、単純に 自分の様に友達が出来て嬉しいとかそんな次元じゃない事はすぐに理解できた。深い悲しみも その表情から読み取る事が出来た。
だからこそ、つくねはこれ以上は 何も聞けなかった。
訊かない代わりに、カイトに礼を。
「そっか…… ありがとうカイト。それにさ。 オレにとってもカイトは大切な友達だからね。きっとみんなも」
つくねは初めは恋愛感情について、カイトにはっきり聞こうとしていたが、そんな気持ちはもうなかった。
「………………」
この時のカイトは、生前(転生前)の僅かな記憶を思い出していた。
失意の中命が失われた時の事。もう殆ど薄れていると言うのに、思い出してしまったのだ。
あの時には本当に未練は無かった。だが死ぬ勇気だけが無かったんだと思う。
そして、向こうの世界で出来なかった事が こちらでは出来ている。
もう二度と大切なものを失ってはならない。
カイトは、 御剣陽一には、深い闇が心の中に内包していた。暗く深い闇。夜よりも深い闇が。
大切な人を失うその時に その闇が表面化してくるだろう。
その闇こそが、カイトにとって 一番怖いものだった。
「嫌な事・・・思い出しそうになった・・・な」
カイトは少し苦笑をしながら呟いた。
「ん? どうしたの?」
「いや、なんでもないさ! ……………ありがとな、つくね」
そう言い2人は寮のほうへと向かったのだった。
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