第三章
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「これ以上つっかかってきたら本当に訴えるからな」
「けっ、どうしようもない奴だな」
「全くだ。最低の奴だよ」
「どうやったらこんなのになるのよ」
クラスの面々は忌々しげに保谷の前を去った。だがそれからもだった。
明らかに保谷のそれと思われる根拠のない出鱈目な誹謗中傷、クラスの面々へのそれが続いた。皆犯人はわかっていたがそれでもだった。
保谷は何かあると先生や警察を話に出してくるので手出しできなかった。したくともだ。
「あの野郎、どんどん調子に乗ってきたな」
「今度は俺が万引きしたとか書いてくれてたな」
そう書かれたのは依田だった。空手部のホープだ。
「俺がそんなことするかよ」
「けれど御前先生に言われたんだろ?」
「本当かどうか」
「ああ、疑われたよ」
保谷の書き込みのせいであることは言うまでもない。
「けったくそ悪い話だぜ」
「私だってね。あれよ」
クラスで何番目かに入る美人の安曇もだった。
「密かに結婚してるとかね。体育の飯田と」
「おいおい、そりゃないだろ」
「そんなの嘘に決まってるだろ」
「ええ。けれど親の耳にも入って」
書き込みから生じたその噂話が入ったのだ。彼女の両親の耳に。
「家の中大騒ぎだったんだから」
「ここまで来ると犯罪だな」
「あの野郎、何処までやるんだ」
「何処まで下種なんだよ」
「何か言ってもな」
そのだ。先生や警察だ。だから手出しできなかった。
高校生の彼等には対処する方法がなかった。しかしだった。
保谷が攻撃する相手はクラスの面々だけではなかった。その他にもだった。
あるサイトの管理人に妙に敵対心を抱いてだ。それでだった。
サイトの掲示板に批判めいたものを書いた。だがだった。
管理人は相手にしなかった。他の住人もスルーだった。保谷はこれに怒り。
嫌がらせをはじめた。所謂串をさしながら掲示板に始終管理人への中傷を書きウィルスを貼った。それを繰り返ししかもだった。
あちこちで管理人への中傷の書き込みを行った。そうしたことを執拗にした。
そうしたことを続けていた。誰も彼には何もできないと思っていた。しかしだ。
ある日朝までそうしたネットでの工作を続けていて学校に行こうと家の玄関を出たそこにだ。私服の中年の男が二人立っていた。その彼等は。
保谷を見据えてだ。こう尋ねてきた。
「保谷君だね」
「間違いないね」
「はい、そうですけれど」
男達が誰かわからずだ。そのまま返す保谷だった。
しかしその名前を聞いてだ。男達はこう言ってきたのだった。
「警察の者だがね」
「ちょっと来てくれるかな」
「えっ、何でですか!?」
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