紙舞
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間とつるめなかったこともあり、学区の問題で中学校が別になると、あまり会わなくなってしまったのだ。
「何だよ、髪すげぇ色にしたな」
つい、口調があの頃に戻ってしまう。背伸びをしているつもりでわざとワルっぽい言葉遣いをしたものだ。
「お前はあのまま背だけ伸びたな!…てか同じ大学だったんだ」
「それな!講義も一緒だったんか!人が多過ぎて気が付かなかった!」
「俺の方はちょっと前から知ってたけどな!」
お前ら変な噂が立ってたもん、と大笑いしながら今泉は云う。…俺たちは地味に、洒落にならない状況だったんだが。
「…そっちの子は八幡ちゃん?八幡ちゃんも噂になってるよ!」
突然話を振られて、静流さんはびくりと肩を竦めて俺の背中に隠れてしまった。
「え…そんな…私…」
「あのノートなかったら俺、今回の単位やばかったわー。『八幡ノート』、マジ神だわ」
静流さんが初めて、目を見開いて今泉を直視した。
「……え」
「こういうのって普通、ノートのコピーが出回るもんなんだけど、八幡ちゃんのだけはノート本体がガンッガン回ってて、アレ?って思って覚えてたんだよ。あれどうしたの」
「………その」
「知らない人に奪われたんだってよ、試験直前に」
俺が代わりに答えると、今泉はぐっと渋面を作って肩をすくめた。
「そりゃ、駄目だな。いくらなんでも…変だと思ったのにそのまま回し続けた俺達も俺達だけど…。八幡ちゃん、試験大丈夫だったの?」
「はい、取られたのは清書用の方で、普段使いのノートは残ってたし…こういう事はよくあるから」
「よくあるのかよ!!!」
今泉と俺は同時に叫んでいた。
「―――玉群は、相変わらずああいう感じなのね」
俺と今泉が盛り上がっている間に、奉はひっそり消えていた。
「いっつもそうだったよな。いつの間にか居なくなってんの」
「……おぅ」
奉なりに、あいつの家の事情に巻き込まれがちな俺に気を遣っているのか。はたまた、付き合いを広げるのが面倒なのか。ただ単に俺の監視を逃れ、かったるい講義から逃げ出すチャンスと捉えたのか。兎に角、今も昔も奉は俺が他の友人と談笑していると姿を消してしまう。例外は鴫崎と、意外にも静流さんくらいだ。
「玉群…くんも、同じ小学校なんですか」
授業中は滅多に私語を発さない静流さんが、珍しく声を掛けてきた。
「それなー。あっちは覚えてないと思うけど」
「そうですか…」
そう云って静流さんは、またノートに向き直ってしまった。…打ち解けようと努力はしつつ、やはり金髪に苦手感があるようだ。
「………なあ、やっぱ噂通り?」
今泉が突然、大きい目を見開いて、小声で意味の分からん問いを掛けてきた。
「………お前、中身は小学生のまんまだな」
「何をぅ?」
「唐突なんだよ、主語がないんだよお前の
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