695部分:第五十五話 華陀、徐州に入るのことその四
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第五十五話 華陀、徐州に入るのことその四
「それは注意して下さい」
「わかりました」
「私も気をつけてますし」
「そうなんですね」
「すりが多いですから」
それが特にというのである。
「お金とか気をつけて下さい」
「うっ、そういえば私結構そういうことは」
「そうですよね。宮中はもっと危ないですし」
「宦官ですか」
「孫策様も宦官によく思われていませんし」
この事情も話す周泰だった。
「曹操殿や袁紹殿とそこは同じですから」
「今回も交州の牧になることも」
「かなり渋っていましたし」
宦官達がだというのだ。とにかく宮中での彼等の力は大きいのだ。
「それで私達があらためて」
「大将軍にお話してですね」
「帝に直接認めて頂きますから」
その為にだ。二人は洛陽に向かうのだった。
そしてだ。あらためてこんなことも話された。周泰からだ。
「それは私達だけではないですし」
「そうですね」
呂蒙は軍師の、彼女の本来の顔になった。目が鋭くなる。
「先にお話に出た曹操殿に袁紹殿も」
「それに袁術殿もですね」
「袁紹殿も幽州牧になられるのに」
「やはり大将軍にお話されていますし」
「何かと厄介な事情が続いてますね」
「そうですよね。宮中の対立は深刻ですね」
「このまま」
呂蒙の顔にだ。今度は憂いが宿った。
「最悪の事態になることも」
「最悪の事態とは」
「はい、宮中での全面衝突です」
それだというのだ。
「それが問題です」
「大将軍と宦官達の」
「そうなり宦官達が勝利を収めれば」
呂蒙の危惧する言葉は続く。
「その場合は私達にとって危険です」
「大将軍の派である私達は」
「彼女達は必ず孫家にも何かをしてきます」
「ううん、それだけは」
「ただ」
ここでさらに話す呂蒙だった。
「宦官達には武力はありません」
「あるのは」
「帝の寵愛だけです」
それだけだというのである。
「ですから。武力ではどうにもできません」
「軍は大将軍が持っておられますしね」
「武力が無い権力には限度がありますから」
「ですか」
「それに」
呂蒙の言葉は続く。
「今の帝は」
「宦官達を寵愛されているその帝ですね」
「御身体が宜しくないそうですね」
「はい、それは私も聞いています」
諜報を担当する周泰ならばだ。知っていることだった。
「どうやら本当にお命が」
「危ないそうですね」
「じゃあ次の帝は」
「陳留王の様ですね」
この名前が出て来たのだった。
「どうやら」
「陳留王といいますと」
「非常に利発で聡明な方のようです」
呂蒙はこのことも頭に入れていた。やはり彼女は軍師であった。
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