ペルソナ3
1806話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「嘘……だろ……」
「あ、ああ……信じられねぇ……あの身体のどこにあんな量が入るんだよ」
「……マジ……?」
周囲にいる客達や、俺をこの店に連れてきた不良、この店の店長……そんな者達の視線を向けられつつ、俺は丼にあった最後のスープを飲み干して丼を横に……同じ大きさの丼が3つ重ねられている上に、更に置く。
1つの丼が5人前のラーメンが入るように出来ている巨大な丼。
それが4つ。単純計算で20人前のラーメンを食い終わった事になる訳だ。
「ふぅ……」
スープの余韻を楽しみなら、店主に視線を向ける。
その店主は、荒垣並み……とまではいかないが、厳つい表情に汗を流している。
冬ではあっても、ラーメンを作る厨房の温度は相当に高い。
それだけに汗を流しても不思議ではないが……店主の流している汗が、そのような汗ではないというのは、俺から見ても一目瞭然だった。
当然だろう。最初に俺がこの店の挑戦メニュー……5人前のラーメンを20分で食べたら賞金5000円というのに挑戦しようとした時、絶対に食べられないから止めておけと言われたのだから。
だが、俺をここに連れてきた不良は俺なら食えると言い張り、結局挑戦する事に。
その不良が何を思ってそんな真似をしたのかというのは、俺にも理解出来た。
ようは、喧嘩で俺をどうにか出来るとは思わなかったので、搦め手を使ってきたという事なのだろう。
だが……結局店の挑戦メニューは、4回連続で俺にクリアされ続ける事になってしまった。
そして俺の表情を見れば、とてもではないがもう腹一杯だという風には見えない。
もう1度挑戦すると言っても、おかしくはないと。
店主はそう思ってるのだろう。
実際、俺の腹の具合を考えれば、まだ挑戦出来ない訳でもない。
そもそも、俺の腹の中に入った料理は全てが魔力として吸収されてしまう。
人間的な意味で、食いすぎで腹が痛くなるという事は、ないのだから。
本来なら、2杯程度で止めるつもりだったのだが……この店主、2杯目は明らかに1杯目よりも麺の量を多くした。3杯目にいたってはチャーシューの量が厚くなっていたり、メンマの量が多くなったりしていた。
そして4杯目ではそれに追加してスープの量までもが多くなっている。
……正直なところ、セコいと言わざるを得ない。
だが、それでいてスープの味付けを濃くしたり、麺をわざと長時間茹ででふやけさせたりといったように、ラーメンの味を壊すような真似をしなかったのは、褒められるべき事だろう。
もしラーメンの味を壊してでも俺に対抗しようとしていた場合、ラーメン屋として失格だったと言えるだろう。
「ごちそうさん」
俺の口から出た言葉に、厳つい顔の店主は安堵の息を吐き、周囲で様子を見ていた
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ