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半ズボンの裾が
第一章

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                 半ズボンの裾が
 長堀恵里佳はバレーボール部でいつも汗を流している、部活の時は部活のユニフォームではなく体操服でしているが。
 練習の合間にだ、恵里佳はよくまたという顔になって半ズボンの裾を手の指でなおす。そうしつつ同じバレー部の部員達に言った。
「すぐにね」
「ええ、半ズボンってね」
「裾がめくれるのよね」
「めくれてそしてね」
「下手したら」
「下着見えそうになるのよね」
 こう言うのだった。
「それが困るのよね」
「そうそう」
「うちの学校の体操服の半ズボンって短いから」
「半ズボンだから当然だけれど」
「太腿出しててね」
 それも付け根の辺りまでだ。
「その丈だからちょっとめくれるとね」
「下着まで見えそうになるのよね」
「体育座りしてから間から見られそう?」
「あっ、それ気をつけないとね」
「半ズボンの間って結構見えるらしいから」
「そこもね」
「そうよね、スパッツとか膝丈ならいいのに」
 恵里佳は裾をなおし終えてからまた言った。
「この丈だとね」
「ちょっとね」
「見えるかどうかね」
「そこが怖いのよね」
「どうしても」
「そう、だからね」
 それでとだ、恵里佳の困った顔はそのままだった。
「いつも気になるのよね」
「周り男子いるしね」
「ここにもね」
 女子バレー部が部活をしている体育館には男子バレー部もいる、そしてバスケ部も男女共いてそうして部活に励んでいる。
 それでだ、バレー部の部員達も言うのだ。
「裾気をつけていきましょう」
「めくれたらすぐになおす」
「さもないと下着本当に見えるから」
「見られていいものじゃないし」
 こう言ってだ、恵里佳も他の部員達も気をつけていた。とにかく半ズボンの裾のことは部活の時もそして体育の時も気になっていた。
 それでだ、恵里佳はクラスで体育の授業の後制服姿の時にこんなことをぼやいた。
「半ズボンの丈長くなってほしいわね」
「もうちょっとね」
「そこ本当にね」
「今は短過ぎるわよ」
「冬とかはジャージ穿けるけれど」
「今の季節暑いから」
「暑さを我慢するか見えそうになるの我慢するか」
 まさにとだ、周りにいる友人達も恵里佳に言う。
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