第二章
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「いいですね」
「そうなんですか?」
「お爺さんのお話面白いのに」
「そうそう、何かとね」
「生活の知恵みたいなお話もあって」
「ためになるのに」
「それでも」
子供達はトマットソンの言葉に残念そうに返した。
「駄目なんですか」
「聞いたら」
「生活の知恵位はいいですが」
トマットソンもそれは否定しなかった、確かに科学万能主義であるが頑迷な考えの持ち主とまではいかないからだ。
「しかしです」
「それでもですか」
「そうした妖精とかのお話は聞いたらいけないんですね」
「そうなんですか」
「妖精は迷信です」
トマットソンはまた言った。
「そうでしかないので」
「そう、ですか」
子供達は校長先生に言われると反論しようがなかった。何しろ学校の先生の中でも一番偉い先生だからだ。
しかしトマットソンに隠れてこっそりとヘルナイゼンの家に行ってよく話を聞いた、ヘルナイゼンはトマットソンの話を聞いても笑うだけだった。
「はっはっは、そう言うのじゃな今度の校長先生は」
「酷いよね」
「お爺さんが間違ってるだなんて」
「そんなことを言うなんて」
「校長先生が悪いよ」
「いやいや、こうしたことはよくそう言われるのじゃよ」
ヘルナイゼンは穏やかな笑みで言うばかりだった。
「わしは気にしておらん」
「そう言われても?」
「間違ってるって言われたのに」
「それでもなの」
「校長先生は科学や迷信と言うがのう」
しかしというのだ。
「世の中科学が全てではないわ」
「校長先生が言うこともなんだ」
「全部じゃないんだ」
「そうなんだ」
「そうじゃよ、トロルもな」
この妖精もというのだ。
「おるぞ」
「そうなんだ」
「お爺さんの言う通りにだね」
「トロルがいて」
「悪戯をするんだね」
「そうじゃ、だからトロルの悪戯にどうするかは覚えておくといいのじゃ」
こう言ってだ、ヘルナイゼンはこの日も子供達にトロルや他の妖精達のことを教えた。子供達はその話を楽しく聞いていた。
トマットソンは確かに科学万能主義であり無神論者だった、しかしそれと共に家族を大事にしており特に生まれたばかりの息子にはだ。
かなり執心だった、それで妻のビルギットにも言うのだった。
「子供を大事にしないと」
「ええ、それはね」
ビルギットは見事なブロンドと灰色の目を持った長身で豊かな胸を持っている、睫毛の長さと彫が深い顔は女優かと思う程だ。夫とは職場で知り合い結婚した、今も相思相愛である。服は今も現役の教師であることもあり地味で露出の少ないものばかりだ。
「本当にね」
「駄目だよ」
「あなたはいつもそう言ってるわね」
「実際にそうだね」
「ええ、子煩悩ね」
「子供は何よりも貴重な宝なんだ」
トマ
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