第一章
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孤城落城
朝倉義景は越前一国を治めていた、彼の家である朝倉家自体が守護から国を奪い取ってそうして治めて長い歳月が経っていた。
朝倉家は朝倉宗滴という名将の力で一向一揆とも近江の六角家とも互角以上に渡り合ってきていた。だが。
その宗滴がいなくなり主の着景だけになるとだ、家臣達は不安に思い出した。
「これまでは宗滴様がおられたが」
「殿だけで大丈夫か」
「殿はどうも柔弱な方」
「戦も武芸も苦手じゃ」
「しかも和歌や蹴鞠等ばかりされておる」
「都の遊びばかりしておられる」
都の文化に耽溺しているというのだ。
「近頃は政のことも我等に任せきりじゃ」
「これではどうなる」
「一向一揆のこともあるしのう」
「危ういのではないか」
多くの家臣達が不安を感じていた、しかし。
当の義景は相変わらず和歌や蹴鞠等をし書といっても物語ばかり読みそんなものばかり楽しんでいた。そして女にも関心を向けていた。
その間にだ、天下は大きく動き。
尾張から織田信長が出てだ、美濃まで手中に収め越前に来ていた覚慶もだ、義景を見限ってだった。
越前を出て信長のところに行った、だが義景はそれでも何もしなかった。家臣達はそれを見てまた言い合った。
「折角の機だったというの」
「全くだ、あの方を奉じて上洛すればな」
「三好家なぞ追ってしまって」
「浅井殿の助けも借りれば出来る」
「それを何故じゃ」
「殿はそうされなかったのじゃ」
このことを歯噛みしつつ言うのだった。
「天下人にもなれたのに」
「何故そうされなかった」
「これでは織田家に油揚げを取られた様なもの」
「全くじゃ」
「よりによって織田家にな」
実は両家は仲が悪い、越前と尾張の守護が同じだったのだ。しかし家臣としては朝倉家の方が格上であったのでそのことから両家は仲が悪いのだ。
それは両家の家臣達にも及んでいた、それでだ。
彼等は義景が動かず覚慶が信長のところに行ったことに歯噛みしていた、だが。
義景は相変わらずだった、今もだった。
「しかし殿はな」
「今はあの女のところか」
「そこから出られぬか」
「今日は」
「小少将殿のところからか」
「またあの方のところか」
家臣達は歯噛みして言うのだった。
「昨日もそうであったしな」
「そして今日も」
「織田家は動いておるというのに」
「殿はそんなものじゃ」
「ではな」
「これではじゃ」
「朝倉家は暗いわ」
「これから先どうなる」
「これまではどうにでもなったが」
宗滴がいた時はというのだ。
「あの方がおられれば」
「しかし今はな」
「殿があの有様では」
「どうにもならぬ」
織田家を横目で見つつ言うのだった、信長は三好家を都から
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