第四章
[8]前話
「一体どうすれば」
「それが問題ですが」
「王にお話しましょう」
「我等の考えを」
こう話してだ、彼等はシャルルマーニュに自分達の考えを話した。するとシャルルマーニュは暫し考える顔になったが。
それでもだ、こう言ったのだった。
「わかった、ではフランク族の決まりに従いだ」
「はい、国をですね」
「我等三人にですね」
「そうして頂けますか」
「余の後はそうする」
こうだ、彼は我が子であるカールとピピン、ルードヴィヒに約束した。
「わかったな」
「有り難きお言葉」
息子達は父王の言葉に応えた。
「ではその様に」
「我等は封土を治めていきます」
「父上から譲り受けたその地を」
「頼むぞ」
シャルルマーニュは我が子達に言った、こうして彼の後は決まったが。
しかしだ、王は息子達を下がらせた後で廷臣達にこう言ったのだった。
「出来ればだ」
「この国はですね」
「ローマ帝国のままにしたかった」
「そうだったのですね」
「そう考えていた」
彼等にはこの考えを述べた。
「出来ればな、しかし仕組みがないのではだ」
「どうしようもない」
「そうなりますね」
「フランク族の掟もありますが」
「そもそも」
「だからだ、あの者達に分けることにした」
国をというのだ。
「そうする、ではな」
「はい、それでは」
「王の後はですね」
「ローマ帝国となりましたが」
「この帝国をあの様にされますか」
「決めた、ではな」
ここまで話してだ、そしてだった。
シャルルマーニュは全てを決めたうえでだ、玉座から再び国政を見た。そして彼が崩御した時にだった。
実際に国は分けられた、それがドイツとフランス、イタリアのはじまりとなった。だがローマ帝国は彼一代のことだった。
かつてのローマ帝国は皇帝だけでなく見事な統治システムによっても治められていた、しかしシャルルマーニュ即ちカール大帝のローマ帝国は。
彼の統治だけで終わった、彼の存在だけの国だった。だからこそ彼がいなくなればなくなった。国家は人と仕組みがあってこそ成るし続いていく、そうしたことであろうか。
休めない王 完
2017・2・20
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