第八章
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修道院に残る
修道院に残ると決めたペーターだが彼の代わりに別の者が養子に入った、彼はそのままの生活を送ることになったが。
孤児院で寝泊まりし中学に入る頃には修道院で生活する様になったがその生活は厳粛なものだった。
朝早く起き礼拝と清掃、そして労働を行いだ。質素な食事の後で学び舎で学問をするがだ。
その彼等を見てだ、信者の者達は言うのだった。
「凄い生活ですね」
「私達の生活がですか」
「厳粛で質素で」
あまりにもそうしたものだからだというのだ。
「辛くないですか?」
「いえ、別に」
修道院の服を着たペーターは信者に穏やかな微笑みで答えた。
「そうは感じません」
「そうなのですか」
「これが常なので」
彼そして修道院の者達にとってはというのだ。
「ですから」
「そうなのですか」
「辛くありません」
「娯楽等はですね」
「ありませんが」
確かにそうしたものはないがというのだ。
「しかしです」
「それでもですか」
「日々充実しています」
彼にとっては真実を述べた。
「信仰と労働、学問に」
「日々がですか」
「ですから」
「辛くはないですか」
「はい」
そうだというのだ。
「全く」
「そうなのですね」
「そうです」
こう答えるのだった。
「これが私達の生活なので」
「凄いですね、そう考えられることが」
「いえいえ、神にお仕えしていることが」
まさにとだ、ペーターは明るい笑顔で答えた。
「無上の喜びなので」
「厳格で質素な暮らしも」
「はい、特に」
これといってというのだ。
「苦しいとも辛いともです」
「思いませんか」
「そうです、それにです」
「それに?」
「幼い時からこうした暮らしをしているので」
だからだというのだ。
「何とも思いません」
「もう生活としてですか」
「馴染んでいます」
修道院のそれがというのだ。
「ですから何でもありません」
「そうですか」
「はい、それに神にお仕えしていますと」
「先程お話された通りですね」
「これ以上の喜びはありません」
こう言ってだ、それでだった。
彼は信仰と学問に励んでいった、そうして学業もだった。
励んでいたが修道院の学校なので信仰が共にある、その信仰に励んでいると院長にこんなことを言われた。
「不満はありますか」
「今現在の状況に」
「はい、ありますか」
「いえ」
微笑んでだ、ペーターは院長医に答えた。
「何も」
「そうですか」
「はい、充実しています」
日々の暮らしがというのだ。
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