第七章
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「ノルウェーのハイネセン伯爵家のご令嬢と」
「ハイネセン侯爵ですか」
「そうです、ノルウェー貴族院の重鎮のお一人であられます」
「その方の次女の方と」
「いずれ結婚して頂きます」
そうしてもらうというのだ。
「もう決まっていますので」
「僕、いえ私の意志はですね」
「貴族ですので」
自由な恋愛もというのだ。
「ありません」
「そうですか、ですが」
「ですが?」
「どうした方でしょうか」
その外見や性格について聞いた。
「一体」
「はい、非常にお優しくしっかりしておられます」
「そうですか」
「はい、それに」
「それに?」
「お奇麗な方です」
そうだというのだ、そしてイアンは彼女の写真をペーターに見せた。写真に写っているその顔は見事な栗色の長い髪に愛らしい桜色の唇にライトブルーの瞳を持つ整ったものだ。だが。
その彼女を見てだ、ペーターはイアンに言った。
「あの」
「何か」
「まだ子供ですよね」
「四歳です」
「四歳の方とですか」
「ペーター様は十二歳ですね」
つまり八歳年上だ。
「ですから結婚される時はです」
「釣り合った年齢ですか」
「ですからご安心を」
そうだというのだ。
「お二方が成人された時に結婚して頂きます」
「そう決まったんですね」
「左様です」
「結婚のことも決まったんですね」
「全てか」
「そうですか」
「これも貴族です」
イアンの言葉は淡々としていた、そしてだった。彼は中学高校大学と決められた場所に進み祖父の言葉で貴族院の議員となり妻を迎えてだった。
家を継ぎそうして栄えさせていたがよく貴族は修道僧よりも厄介な立場だと困った顔で言っていた。
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