16 負傷
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い?」
「それは、藤木が気の毒で守りたかったからでしょっ!?」
「へえ。じゃあ藤木君、君は笹山をどうして守ったんだい?君にはリリィという好きな人がいるじゃないか?」
「それは、授業のとき、笹山さんが堀内君に邪魔されて困っていたからさ・・・」
「永沢、あんた何が言いたいのっ!?誰かが困っていたら助けようとするのは当たり前じゃないっ!!」
城ヶ崎が喰ってかかった。
「いいや、僕は藤木君にけじめをつけてもらいたかったのさ・・・」
「はあっ!?」
「まあ、藤木君が一番知っていることだよ・・・」
永沢はそう言って席に着いた。
「藤木君、気にすることないわよ。そうだ、笹山さんの様子見に保健室に行こうよ」
その時、丸尾が現れた。
「いけません。きちっと自習しなさい!」
「わ、わかったよ・・・」
藤木は笹山が心配でならなかった。先程の永沢の言葉が頭によぎる。
《ふん、笹山に代わりにやられてもらうなんて、卑怯にも程があるよ、藤木君》
(確かに、永沢君の言う事は最もだ・・・。笹山さんは僕の犠牲になったんだ・・・。謝んないとさらに卑怯者になるだけだよな・・・。そんなの僕は嫌だ・・・!!)
そして、給食の時間の直前に笹山は戻ってきた。笹山は鼻血が出た鼻孔をティッシュで詰め、蹴られた口の部分が赤くなっていた。藤木は真っ先に笹山の所へ向かった。
「さ、笹山さん!」
「ふ、じ、き、君・・・」
笹山は痛みでうまく言葉が出せないでいた。
「本当にごめん。僕の代わりにこんなケガさせるなんて本当に僕は卑怯で最低な奴だ・・・、でもこれじゃあ、謝っても許せるはずないよね・・・」
「そん、な・・・藤木、君は、悪く、ない、よ・・・」
笹山は泣きながら謝る藤木を宥めた。リリィと城ヶ崎も笹山の所へ歩み寄った。
「笹山さん、大丈夫?」
城ヶ崎が聞いた。
「まだ、口の、中が少し、痛いけど、だい、じょうぶよ・・・」
「そう、ならよかったわ。でも痛みがひくまで無理して喋らないほうがいいわね」
リリィも心配して言った。
「うん・・・」
給食の時間、笹山は口内の痛みで食事の進みが遅く、食べるのに苦労しているようだった。リリィと藤木は笹山の様子がどうしても気になった。
「笹山さん辛そうね」
「うん・・・」
「放課後笹山さんの家に行きましょうよ」
「うん、でも僕でいいのかな?」
「もちろんよ。藤木君も笹山さんが心配でしょ?だからあの時笹山さんを助けたんじゃないの?」
「う、うん・・・」
藤木はリリィと共に笹山の家に行くことにした。
(そうだよな。僕は確かにリリィも好きだけど、笹山さんも好きなんだよな。だからこそ笹山さんから堀内を庇ったんだ・・・)
藤木はそう思い出した。藤木は見舞いに行く事を決意した。
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