(現代語訳)竹取物語(口語訳)終
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でおしまいだ。私たちが迎えに来たのだから、貴様がいくら泣き叫んでもむだだ。さっさとかぐや姫をここへ連れて来い』
思ってもいなかった話を聞かされ、爺さまは驚いた。
『私はかぐや姫を二十年間も育ててきました。それを"少しの間”とおっしゃることはどういうことでしょうか。別のかぐや姫と間違えていらっしゃるのではありませんか』
言い訳を並べる。
『それに、私のところのかぐや姫は、たいへん重い病気にかかっておりまして、外出などできる状態ではないのです』
天の人は爺さまの言葉を無視して、空飛ぶ乗り物を近くに寄せた。そして『さあ、かぐや姫。こんな汚らしいところから、早く旅立ちましょう』と家に向かって叫んだ。
その言葉を合図にしたかのように、家じゅうの戸や窓が、次々と開き始めた。誰も手を触れていないのに、すべてが開け放たれた状態になった。
婆さまに抱きしめられていたかぐや姫も外へ出てきた。爺さまはどうしようもなくて、ただ涙を流すばかりであった。
そんな爺さまにかぐや姫は声をかける。
「私としても、行きたくて行くのではないのです。同じように悲しい。せめて、お見送りだけでもしてください」
『こんなに悲しいのに、見送りなんて、できるはずもない。どうしてそんなひどいことを言うのか。私も一緒に連れて行ってはくれないか』
爺さまが泣く姿を見て、かぐや姫の心は揺れ動いた。
「手紙を置いていきましょう。私を思ってつらいときは、それを眺められるように」
手紙の内容は、以下のようであった。
<もし私がこの国に生まれていたのであれば、このように悲しませることもなく、ずっとおそばにいられたでしょうに。お別れしてしまうこと、繰り返しになりますが、残念でなりません。
私が身につけていたものを置いていきます。形見だと思ってください。月が出た夜は、見上げてください。ああ、両親を置いてゆくなんて、空から落ちるような気分です。>
天の人が持ってきた箱の中には"天の羽衣"という着物と、不死の薬が入っていた。
ある天の人が『こちらのお薬をなめてください。汚いところにいてすさんでいた気持ちが、すっきりしますので』と言ってかぐや姫に壺をさし出した。
かぐや姫はそれを少しなめ、残りは置いていくために脱いだ服に包もうとしたが、止められた。
天の羽衣を着せられそうになったかぐや姫は「ちょっと待ってください」と言った。「これを着てしまうと、記憶が書き換わってしまうと聞きます。一言書き忘れたことがあります」とまた手紙を書き始めた。
天の人は『早くしてください』とせかしたが、かぐや姫は「最後なのですから、大目に見てください」とミカドに対する文章を静かに、落ち着いた様
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