(現代語訳)竹取物語(口語訳)5
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が、顔だけはしっかり隠してじっとしている。
『放しはしない』
ミカドはすっかり興奮して、連れて帰ろうとぐいぐい引っ張った。かぐや姫は抵抗する。
「私はこの国に生まれた人間ではありません。ご一緒できませんわ」
ミカドにはそんな言葉も耳に入らない様子で、『おい、乗り物を持ってこい』と家来に言ったりなどしている。
ここでふと、かぐや姫の姿が消えてしまった。
着物をつかんでいたはずなのに、急に目の前からいなくなったので、ミカドはびっくりした。
『やはりただものではなかった』となぜか感心している。
そして頭が冷えたようで『悪いことをした。もう連れて帰ろうとはおもわない。どうか最後にまた姿を現してくれないか。ひと目見たらすぐ帰る』と辺りに呼びかけた。かぐや姫はふたたび現れた。
ミカド爺さまにお礼をのべて帰った。
帰り道でミカドは和歌を詠んだ。かぐや姫を残してきたことがなごり惜しかったのだろう。
<帰りながら、ついつい後ろを振り返ってしまうのは、私に背を向けて留まった、あなたのことが気になるからだろう>
かぐや姫も返事の和歌を詠んだ。
<草木が生いしげる家で育った私が、今さらどうして豪華な家で暮らすことができるでしょうか>
これを読んでミカドはいっそう恋の炎が燃え上がった。
このまま帰りたくないと思うけれども、お供がたくさんいるので、そんなわがままも言っていられない。大人しく宮中に帰った。
さて、ふだんミカドの周りにいる女性たちは、美人ばかりのはずであるが、あらためて見てみると、かぐや姫の美しさにはとうてい及ばない。
ミカドはかぐや姫のことばかりを考えて毎日を過ごした。何度か手紙のやり取りもしたそうな。
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