(現代語訳)竹取物語(口語訳)5
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しみながらも返事を詠んだ。
<貝はありませんでしたが、あなたから和歌をいただいてとてもうれしいです。これで結婚までしていただけたら最高なのですけれど>
最後まで書き終わると、筆を置く間もなく、中納言は息をひきとった。
これを知ったかぐや姫は、かわいそうな気持ちになった。だから、中納言のがんばりを『やっただけのかいはあった』と言う人もいたそうな。
<御狩の御行>
かぐや姫の美しさは、ミカドというとても偉い人の耳にも入ったそうな。
ミカドは側近のふさ子に『いろんな人が身を滅ぼすほど恋焦がれたかぐや姫はどんな女なのだろうか。ちょっとその目で見てきてくれないか』と頼んだ。
ふさ子はかぐや姫の家を訪れた。爺さまの妻である、嫗が出迎えた。
『かぐや姫はとても美しいといううわさです。ミカドが気にしてらしたので、私が代わりに見に来たというわけです』
『そうなんですか。では、ちょっとお待ちくださいね』
嫗はかぐや姫に部屋から出てくるように言った。しかしかぐや姫は「私はぜんぜんきれいじゃありませんわ。お目にかかるなんて、恥ずかしい」と気の進まない様子だ。
『そうは言ってもね、ミカドの使いの方なんですから。このまま帰れとも言えないでしょう』
「ミカドなんて、私、怖くもなんともないわ」
嫗は、そう強気になることもできず、ふさ子のところへ戻ってきた。
『すみません。がんこな娘なのです。お会いできそうにないです』
これを聞いてふさ子は強い調子で言った。
『見て来いと言われて私はここまで参ったのです。どうしてこのまま帰ることができるでしょうか。ミカドはこの国の王さまのようなお方ですよ。あなた方はこの国に住んでいるのでしょう。平和に暮らせているのは、誰のおかげだと思っているのですか!』
とても激しくどなっていたので、かぐや姫の部屋まで声は届いた。
「そんなに見たいのなら、殺してからひきずりだせばよろしいのですわ」 誰に言うでもなく彼女はつぶやいた。
結局ふさ子はこのまま帰り、ミカドに報告をした。
『そうか。仕方がない。深入りすると、今までの人びとのように命を落としかねないし。あきらめようか』
そう言っていったんは納得したが、時間が経つと、やはりまた気になってくる。
悪女だとしても、私は負けんぞと思って爺さまを呼び出した。
『お前の家のかぐや姫を、私の近くに仕えさせたい。スカウトの使者を送ったが、そのかいなくただ帰ってきただけだ。どういう風に育てたら、私ミカドの命令を断るようになるのだ』
爺さまは背筋を正して答えた。
『わが娘は、とてもミカドのおそばにい
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