(現代語訳)竹取物語(口語訳)5
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たちに知らせを出した。
『それにしても、あなたは僕の部下でもないのにいろいろ教えてくれて嬉しいですよ。ほんとうにありがとうございます』と倉のじいさんに衣服をプレゼントして礼をのべた。『さらにお願いなんですが、夜になったらまた来てくれませんか。指示とか、出してほしいし』
そして日が暮れた。中納言は倉まで様子を見に行った。たくさん燕の巣があった。
倉のじいさんが教えてくれた通り、何羽かが尻尾を高く上げて七回転していた。
さっそくかごを吊り上げて探らせるが『ありません』とのこと。
中納言はいらいらしてきた。『ええい、探し方がわるいんだ。誰か見つけてくれそうな人はいないか。いないな。じゃあ僕が自分でやるしかないな』とかごに乗り、例の回転をしている燕のいる巣に手をつっこんだ。
平たい感触がしたのでそれを握り『とったぞ。下ろしてくれ。じいさん、僕やったよ!』とはしゃいだ。
中納言は『早く下ろせ』と興奮した様子。ロープを握る者たちはあせって操作をまちがえた。そして不運なことに、かごはまっさかさまに落ちてしまった。
その場にいた人びとは『大変だ』とあわてて地面にたたきつけられた中納言の元にかけつけた。白目をむいて意識がない。
水を飲ませるなどして看病をした結果、中納言は目を覚ました。しかしまだもうろうとしている。
『中納言殿、大丈夫ですか』と声をかけると、かろうじて声をしぼりだした。
『気持ちは少しはっきりしてきたけれども、腰がだめだ。まったく感覚がない。僕はもう歩けないかもしれない。でも、子安貝を手に入れたんだ。こんなに嬉しいことはない。ろうそくを持ってきてくれ。よく見たい』
満足そうな顔をして中納言が手のひらを広げると、握っていたのは燕の乾いたフンだった。
『貝ではなかったのか』
このときの中納言のセリフは『苦労したけどほとんど意味がなかった』という意味の言葉、【かいがない】【かいなし】の語源になったという話である。
さてその後の中納言であるが、自分の握っていたのが子安貝ではなかったと知り、とても悲しいどん底の気分であった。プレゼントするときに使おうと思っていたきれいな箱もむだになり、さらに腰が骨折していたことがわかった。
彼は自分の子どもっぽい行動で身体を壊したことを恥ずかしく思い、人に言えないでいた。ただ『病気になりました』と言って家で寝てばかりいた。気分はますます落ち込むばかり。
そのうちかぐや姫がうわさを聞きつけてお見舞いに和歌をおくった。
<最近こちらにいらっしゃいませんけど、貝がなく、待つのはむだだと聞きました。ほんとうでしょうか>
中納言はすっかり気が弱っていたけれども、なんとか身を起こして、苦
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