(現代語訳)竹取物語(口語訳)4
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船乗りは泣き出した。
『あっしが今まで海で遭ったなかで最悪ですわ。船が沈まないとしても、雷が落ちてこっぱみじんですよ。
もし運良く神様が助けてくださるとしたら、南のほうになんとかたどり着けるかもしれませんが。
あぁ、とんだ客を乗せちまった。こんな死に方なんて、ばかばかしいや』
『お前の腕を見こんで私は命を預けているのだ。しっかりしてくれ。情けないことを言わないでくれ』と大納言は叫んだが、胃の中のものを吐きながらだったのでなんともかっこうが悪い。
『あっしは神じゃありませんので、もうどうすることもできやしません。
たぶんこれは、大納言さまが竜を殺そうとしたことのバチなのではないかと思いますぜ。海も空も荒れているのはきっと竜の仕業です。
ここは反省して、おわびに祈るしかないと思うんです』
船乗りの提案に大納言は『わかった』と言いいました。
『海の神様、申し訳ございません。おろかな私は何も考えず、竜を殺そうとしてしまいました。これからは心を入れ替えて、竜の毛一本ほども動かそうとは思いません。許してください』
大納言は祈りの言葉を、立ちあがって空に叫んだり、ひざまずいて海に呼びかけたりした。それを千回ほど繰りかえした。効果があったのか、雷は鳴り止んだ。遠くのほうでわずかに光るばかりである。風は変わらず激しく吹いていた。
船乗りは『やはり竜のしわざでしたわ。今の風はさっきよりもずっといい風です。これならうまく進めそうですぜ』と大納言に言ったが、彼は震えるばかりで何も耳に入らない様子であった。
数日後、ある浜にたどり着いた。確認してみると明石(あかし)である。大納言は『南の、よくわからない島に来てしまったようだな』とうずくまりながらあたりを眺めた。
船乗りの連絡によってすぐに役人たちが来たけれども、大納言は突っ伏したままである。仕方がないのでかついで船から降ろし、近くの松林に布を敷いてそこへ運んだ。
そこでやっと大納言は『ここは南の島ではない』と気づいてよろよろと身を起こした。
どうやら何かの病気にかかってしまったらしく、腹と両目がはれていた。特にまぶたのところがひどく、スモモを2つくっつけたようにふくれ上がっていました。そばにいた役人は、それを見て笑ってしまうのを抑えられませんでした。
大納言は自分が乗るためのかごをわざわざ作らせ、それに乗って京都の家まで帰った。体調はまだ良くなく、うんうんうめきながらの帰り道でした。
彼が帰ってきたと知り、家来たちも戻ってきた。
『私たちは竜の首の珠を取ってくることができませんでした。ご自身でも行かれたようですが、だめだったと聞いています。
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