(現代語訳)竹取物語(口語訳) 3
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れ、乾くことはありませんでしたが、今日からはきれいに乾いて、つらい思い出は忘れることができるでしょう>
すると、ある男たちが六人ほど庭に現れた。ただならぬ様子である。彼らは礼儀正しく手紙をさし出して、こう語った。
『私は漢部と申します。金属を加工したり、アクセサリーを作ったりしています。今回依頼された玉の枝ですが、私たちは食事の時間も削り、たいへん一生懸命に働きました。
おそらく千日は働いたと思います。ですがいまだに報酬をいただいておりません。工員にも給料を払っていません。どうかよろしくお願いします」
『職人さんたちが言っていることは、どういうことだろうか?』と爺さまは首をかしげたが、車持の皇子は顔を青ざめ、冷汗をかきはじめました。
これを聞いていたかぐや姫は「手紙を読んでみましょう」と言いいました。
<車持の皇子は、千日間、身分の低い私たちと一緒に工場にいらっしゃいました。『みごとな玉の枝を作り上げたなら、すばらしい地位や肩書きを与えてやる』と言われたので、私たちはとてもがんばりました。
しかしいつまでたっても何のご連絡もないので、車持の皇子の奥さまになられるはずの、かぐや姫のお家で代わりにいただけるのではないか、と思い参上しました。>
『報酬をいただきたく存じます』と職人が言う。日が暮れ結婚の夜が近づき、暗い気分になっていたかぐや姫はこの言葉を聞いて心が軽くなった。
爺さまを呼んで「本物の蓬莱の玉の枝かと思ったけれど、くだらない嘘だったわ。はやく返してあげましょう」と言うと、爺さまは頷いた。『作り物だと聞いたからには、返すのが当然です』
かぐや姫はさっぱりした心持ちで和歌を詠みました。
<本物だと聞いて見てみたら、言葉で飾られた枝でしたわ。がっかり>
爺さまは先ほどまで楽しく倉持の皇子と語っていたのがちょっと気まずくて、枝を返すとさっさと寝てしまったそうな。
皇子のほうは立っていても、座っていてもみっともない。その場を去った。
さてかぐや姫は、訴えに来た職人たちを呼んで「どうもありがとう。とてもうれしいわ」とたいへん多くのお礼を与えました。彼らは『こんなにもらえるなんて!』と喜びながら帰ったそうな。
帰り道では車持の皇子が職人たちを待ち構えていた。
血が流れるほどの暴力をふるい、彼らがかぐや姫からいただいた品々をすべて捨ててしまった。職人たちは次々に逃げた。
車持の皇子は『一生の恥だ。これ以上恥ずかしいことはない。問題なのは結婚できなかったことだけではない。嘘をつくような人間だと思われてしまったこともだ。これからはみっともなく生きていかなければならない』と言って
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