(現代語訳)竹取物語(口語訳) 3
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はやそこまで。でも生きているうちは、わずかでも蓬莱山に行ける可能性はある。
あるときは荒れた波で海の底へ沈みかけ、またあるときは風に流されて鬼のような化け物に殺されそうになりました。
あるときは方向がまったくわからなくなり、またあるときは食料がなくなって草の根っこを食べました。
よくわからない怪物が出てきて食べられかけたこともありましたし、貝をとって飢えをしのいだこともありました。
どこへ行けばいいのかわからない。助けてくれる人もいない。いろいろな病気にもかかりました。そんな状況で私は、ただひたすら、船に乗ってただよっていました。
出発してから五百日くらいが経ったとき、ある山が遠くに見えました。とても高く美しい山でした。
あれこそ私の探していた山だ! と喜びながらも、すぐ上陸するのは危険かもしれない と思って数日間は山の周りをこぎまわっていました。
そうしているところへ"天人”のような女の人が山から現われました。銀色のお椀で水をくんでいました。
私は船から降りて訊ねました。
『すみません。この山は何という山でしょうか』
『蓬莱山です』
私は飛び上がって喜びました。その女性に名前を訊ねると『ウカンルリです』とだけ答えてさっさといなくなってしまいました。不思議な人でした。
さてその山は、登ることはほとんど不可能に思えました。そこで周りを歩いてみると、この世のものとは思えないような花や樹
金色、銀色、瑠璃色、さまざまな色で光る水が山から川となって流れていました。その川には玉で飾り付けられた橋がかかっていて、光り輝く樹が立っています。
この、私が取ってまいりました枝は、その中でも最高のものではありませんでしたが、姫がおっしゃった通りのものを選んできたつもりです。
蓬莱山はとても面白い場所で、この世のものではないような気がしていましたが、枝を折ったとたん、これを届けねばならぬ人が私にはいるのだと思い出し、船に戻りました。
帰りは風にも恵まれ、四百日ほどの旅でした。毎日祈り続けたからでしょうか。
そんなわけでなにわの港までたどり着き、昨日京都に帰ってきたのです。自宅にも寄らずここまで来たので、着ている物がちょっと潮くさいかもしれませんね
車持の皇子の話は以上である。爺さまはすっかり感激して和歌を詠んだ。
<ずっと野山で竹取の仕事をしてきたが、あなたのようにつらいことはなかったなぁ>
これを聴いた車持の皇子は『これまでいろいろ悩んで落ち着かなかったのですが、今日やっとすっきりしました』と言って返事の和歌を詠んだ。
<私の服はこれまで波や涙にぬ
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