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レーヴァティン
第十七話 学術都市その十五

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「何かな」
「そうみたいだな」
「同じ大学でか」
「こっちの世界に来てるんだな」
「そうみたいだな、まあとにかくな」
「うん、僕も同行させてもらうよ」
 大久保源三は笑って久志達に話した。
「仕事が終わってからね」
「その仕事って何だよ」
「うん、ちょっとあるお金持ちにお薬頼まれててね」
「薬か」
「錬金術で調合したね」
「それどんな薬だよ」
「その人が若い奥さんを後妻に貰ってね」
 源三は明るい笑顔で話した。
「わかるよね」
「ああ、夜か」
「そうだよ、そのお金持ちの人はもう七十歳だけれど」
「奥さん幾つだよ」
「二十歳だよ」
「死ねって思ったぜ今」
 久志はここまで聞いて自分が率直に思ったことを述べた。
「今な」
「しかもかなりの美人さんらしいよ」
「余計に死ね、だな」
「尚且つ聖女さんみたいな性格で誰にでも優しくて」
「なあ、その爺さんに薬やるの止めろよ」
 三割本気でだ、久志は源三に言った。
「七十になったら大人しくしてだよ」
「若くて奇麗な奥さんなんて貰わずに」
「隠居してろよ」
 そして静かに余生を過ごせというのだ。
「そうしてろよ」
「結構怒ってるね、君」
「七十歳で二十歳の奥さんって何だよ」
 五十歳の年の差婚への率直な感情は今も隠さない。
「しかも美人で性格もいい!?」
「家事も万全らしいよ」
「遺産目当ての性悪女にひっかかってろ」
 どうせ結婚するならというのだ。
「それで上原〇さんみたいになれ」
「洒落になってない話出すね」
「というかよくそんな話実際にあるな」
「五十歳歳が離れてて高スペックの聖女さんとご結婚して」
「夜頑張るつもりだっていうんだな」
「二十歳の時みたいにね」
「そんなの知るか」
 まだ言う久志だった。
「浮気性の女で性病移されて苦しめ」
「あの、それはいいですが」
 順一はあくまで己の思ったことを言い続ける久志を制止した、その主張があまりにも痛いうえに話が進まないからだ。
「若返りのお薬ですね」
「頼まれているのはね」
「それを調合してから」
「一緒に行かせてもらうよ」
「わかりました、ではです」
「協力してくれるのかな」
「はい」
 順一は微笑んで源三に答えた。
「そうさせて頂きます」
「俺もそうさせてもらうな」
 智も笑って源三に答えた。
「是非な」
「悪いね、実は探しにくい素材もあってな」
「協力して欲しかったんだな」
「今からね」
「よし、俺もだ」
 久志も協力を申し出たが彼はこうも言った。
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