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レーヴァティン
第十七話 学術都市その十四

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「ここにいる奴もか」
「サン=ジェルマン伯爵の様な」
「そんな奴か」
「それは」
「ははは、それはないよ」 
 順一が言おうとするとだ、ここでだ。
 明るい少年の声がしてきた、そしてだった。
 小柄な茶色の髪と瞳の少年が入って来た、童顔であどけない顔立ちであり黒を基調としたこちらの世界の学者の服を着ている。
 その彼がだ、久志達から見て向かい側の扉を開いて久志達に言ってきたのだ。
「僕は賢者の石を持ってるけれどね」
「それでもか」
「サン=ジェルマン伯爵にはね」
 その伝説上の人物にはというのだ。
「及ばないよ、とてもね」
「そうだっていうのかよ」
「そう、とてもね」
 こう言うのだった。
「及ばないよ」
「そうなんだな、それでな」
「そう、僕も十二人の一人だよ」 
 少年は微笑み久志に答えた。
「君と共に世界を救うね」
「そうか、やっぱりな」
「順一君から連絡は受けていたよ」
 既にという返事だった。
「もうね、だから知ってるよ」
「俺達がここに来た理由もか」
「僕自身のこともね」
「全部知ってるか」
「うん、それで単刀直入に言うけれど」
「イエスか、ノーかでいうとどっちだ?」
「イエスだよ」 
 久志に微笑んで答えた。
「どっちかっていうとね」
「つまり条件付きか」
「そうだよ」
 こう久志に答えた。
「こうなるって思ったかな」
「世の中そうそう簡単に進めるか」
「そうとも限らないね」
「ああ、出来れば簡単にいって欲しいけれどな」
「そうとも限らないからね」
「あんたについてもか」
「僕もこの島のことについてはね」
 少年は少し残念そうな顔になって久志に話した。
「知ってるからね」
「しょっちゅう戦争になっててな」
「大変な状況だからね」
 それでというのだ。
「何とかしたいからね」
「平和主義ってことか」
「いや、錬金術も戦争で使われるけれど」
 それがというのだ。
「どうもその使い方が奇麗じゃなくてね」
「だからか」
「人を惨たらしく殺すよりも癒す方に使って欲しいね」
「正論だな」
「うん、それでまだ名乗ってなかったね」
「ああ、名前何ていうんだ?」
 久志もそこを問うた。
「あんたの名前は」
「大久保源三。あっちの世界じゃ八条大学薬学部にいるよ」
「薬学部か」
「八条大学のね」
「また八条大学か」
「全員そうみたいだな」
 智もこのことを言った。
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