第70話<日向乱心>(改2)
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(クックック……)
こらあっ! 利根と山城さんまで……君たち何を笑ってンだ?
「よ・よ・」
日向は既に表情がこわばって舌が回らない。 ……というかアルコールの影響もあるのだろう。顔が赤い。
(ウックックッ)
だから、お父さんまで……笑っちゃダメだよ! 日向が可哀想だ。
「よかったです」
最後の部分の台詞をボソッと言った日向は、突然真っ赤になった。
それを見て仰け反ったのは私だけだ。
「お父上に伺いました!」
なおも日向は急に顔を上げる。
ビックリ……ていうか、お前、まだ止まらないのか?
「理想的な軍隊は、上官と部下が渾然一体となる、まさに一蓮托生。従って日向も司令と共に粉骨砕身、永久に戦い抜く所存です!」
赤い顔して目が据わっていた日向、想像を絶する勢いだ。
……だがそろそろ限界だろ? ついに顔を覆って黙ってしまった。
(やっぱり)
艦娘が不慣れな事を、するもんじゃない。興奮して更に酔いが回ったことだろ。
ニヤニヤしたお父さん! 日向に難しい言葉を吹き込むんじゃない!
すると、それまでニタニタしていた利根が日向の肩に手を回して言う。
「もぉ! 今宵は日向殿も熱いのじゃ……があぁっハッはぁ」
もはや私は呆れ果てた。
(お前らバカか?)
真っ赤な顔をした利根め、限界を超えて飲みすぎだって!
だが父親も笑っていた。
隣の山城さんも意外と余裕の笑顔だった。いや逆に怖い気もするが。
だいたい全員が相当量の、お酒が入っている。盛り上がり方が尋常ではない。それでも普段は、ほとんど笑わない父親が、こんなに楽しそうな顔をしている姿は初めてだ。
そう思うと、お盆くらいは、これもアリかな?
だが、そこで止まらなかった。
「So れワぁ、聞き捨てなりませぇン!」
(グリグリ!)
「あいっ痛ァ!」
金剛が思いっきり頭を押し付けて来た……てか、
「何でいきなり目を覚ます?」
口を尖らす彼女。
「金剛ちゃんモぉ、参戦しちゃおっかナ」
「……し、しなくていいって」
「ハッ!」
異様な気配に振り返ると比叡が真っ青な顔で上半身起こしていた。
「おぉ……お姉さま」
比叡の手が空しく宙を舞っている。
今にも泣き出しそうだ。お前ら姉妹はスイッチで繋がっているのか?
でも、普段見られない艦娘たちの羽目を外した姿に……実は祥高さんも含めて皆、楽しそうだった。
見上げると、うちの神棚も輝いて見えた。
いや神様は苦笑しているかな? ……きっと。
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