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俺の涼風 ぼくと涼風
番外編
熨斗をつけて返す
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る衝撃は、同じくあたしの身体にかじり付いていたハ級たちにもダメージを与えたようだ。全身にかじりついていたハ級たちは慌てふためき、何匹かはあたしから口を離した。そのスキをあたしは逃さない。主砲の駆動音とは明らかに異なる、重く禍々しいモーター音を周囲に轟かせながら、左右のマジックアームで周囲をなぎ払い、すべてのハ級を引き裂き、殴り飛ばし、水面下に沈めた。

 そして、遠目からあたしに砲撃しているチ級たちに、左のダズル迷彩砲2門を向ける。相手からの砲撃はうるさいが、右のマジックアームで身体を覆えば、それもしっかりと防御可能だ。

「くたばれッ!!!」

 再び、身体が海に沈み込むほどの衝撃があたしの身体に襲いかかる。強大な反動に耐え、崩してしまったバランスを再び取り、あたしが姿勢を正した頃、あたしの視線のその先からは、チ級たちの姿は消えていた。

「さすが戦艦の主砲だ……助かったぜ榛名……」

 これで、あいつらを助けに行ける。涼風たちが乗っているボートを見た。ノムラのクソが涼風を拘束し、ボートの底面に銃を向けているようだ。雪緒の姿は見えない。底面に倒れこんでいるとすれば……あたしは即座に主機を回し、全速力でボートに向かう。

「う、嘘だ……嘘だよぉ……あんなに、大切に……したのに……こんなに、愛して……」

 クソが涼風から手を離し、一歩々々と後ずさりしはじめた。雪緒がクソを完膚なきまで言い負かしたようだ。クソの手を離れた涼風は、一目散に倒れている雪緒のもとにかけていく。やっぱり雪緒は倒れてやがったか。

 距離が近付き、雪緒の様子がやっと分かった。綺麗だった茶髪は血塗れで、口からの吐血もひどい。咳も止まらず、その度に口から血が飛び散っている。

「ゆきお! しっかりしろ!! ゆきお!!!」
「うん……あり……ゴフォッ!?」

 このクソヤロウ……涼風を助けてくれたあたしの相棒までボロ雑巾みたいにしやがって。

「おい」

 やっと追いついたクソヤロウの右肩に手を起き、無理矢理にこちらを向かせる。

「なッ……摩耶……」

 まさかあたしが深海棲艦を全滅させるだなんて思ってなかったのだろう。あたしを見るノムラの目は、驚愕と恐怖で、ピクピクと泳ぎ、痙攣しているようにも見える。そのまま左手の拳を振りぬき、ノムラの顔面を殴り飛ばす。バキという音とともに、ノムラの身体は宙を舞い、バシャリと水面に落ちた。

 ……まだ足りないよな、榛名。

 あたしは持ってきてたニッパーを雪緒と涼風に投げ、相棒に対し、涼風の拘束を解いてやるように指示した。雪緒はボロ雑巾のようにズタボロだが、根性のあるこいつなら、それぐらいはできるだろう。こいつがここに来た目的は、自分の相方を助けるためなんだから。自分の目的は、最後まで自分
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