番外編
熨斗をつけて返す
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『聞いている』
「聞いてのとおりだ! あたしは榛名の艤装をつけて出撃する!」
『……お前がつけて大丈夫なのか』
「知るかクソがッ!! でもこうするしかねーだろ!!!」
『……』
「お前の息子のワガママ聞いてやったんだ! あたしのワガママぐらいカワイイもんだろうが!!」
『……』
「要はあんたの義理の娘を助けて、ノムラを確保すりゃ文句ないだろ!?」
『……』
「返事しろ!! あのクソッタレ、生きて確保できりゃいいんだろうが!?」
『……ああ』
よし。提督からの言質はとれた。これで大手を振って、榛名の艤装を装備して出撃出来る。それに……
「よし。決まりだ榛名。艤装よこせ」
「……」
「その代わりお前の分まで、あたしがノムラを殴り倒しておいてやる」
「……」
「提督から言質はとった。殺す寸前まで殴って殴って殴り倒してやる」
水面に両膝をついていた、榛名が力なく立ち上がった。ふらりと立ち上がった榛名は、あたしの両肩に手を置き、涙が滲んだ、澄んだ大きな瞳で、まっすぐにあたしを見つめた。
「……摩耶さんッ」
榛名の艤装から、圧力を抜くプシューっと言う音が鳴り響く、艤装の固定が外れたようだ。
「……お願いします……涼風ちゃんをどうか……どうかお願いしますッ……!! これでちゃんと……掴んで下さいッ」
悔しそうに下唇を噛みしめる榛名の左手を、あたしは自分の左手で握る。当たり前だ。あたしたちの大切な妹だぞ。
「任せとけ。相棒と、お前と一緒に、妹助けてくるからさ」
……
…………
………………
「そういや……そうだったな……!!!」
思い出した。私に託された榛名の艤装は、特別製だった。特殊な近代化改修を受けたこいつの艤装は、砲雷撃が得意なあたしたち艦娘の中で数少ない、接近戦に特化した改修が施されていたことを、忘れていた。
あたしは榛名の艤装のギミックを作動させ、その巨大なマジックアームをバクリと展開する。展開されたマジックアームは、あの優しい榛名に似つかわしくない、禍々しい駆動音を轟かせ、あたしの顔面に狙いをつける雷巡チ級の主砲をがしりと掴み、そしてねじり上げる。
「榛名さんよぉ……お前に艤装を借りといて……正解だった……!」
メキメキという嫌な音を周囲に響かせ、雷巡チ級の腕を、肩の根本から捻り落とす。チ級の悲鳴が周囲に響き、他の深海棲艦に動揺が走った。
「甘く見るなよ……金剛型最強の三番艦……榛名の艤装を!!!」
そのままマジックアームでチ級の頭を抱え、至近距離で主砲を撃つ。榛名の主砲の反動は凄まじく、撃った側のあたしの身体が一瞬水面に沈み込み、そして私の身体にビリビリとした衝撃が走った。
あたしの身体を駆け巡
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