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俺の涼風 ぼくと涼風
番外編
熨斗をつけて返す
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リと動き、あたしに照準を合わせた。榛名はすでに、水面に両足をつけている。

「邪魔するなら、いくら摩耶さんでも……ッ!!!」
「戦艦の分際で重巡のあたしに夜戦で勝とうなんて思うんじゃねえ」
「あなたこそ、金剛型を甘く見ないでくださいッ!!」
「うるせぇロートル」

 あたしも榛名に主砲を向けた。あたしを見る榛名の目が据わる。榛名の主砲からあたしに向かって、射線が伸びているのが分かる。榛名は、本気であたしを潰してノムラを殺しに向かうつもりのようだ。

 互いに視線を外せない。ドックの中が、耳に痛い沈黙とともに緊迫感に包まれた。互いに引き金に指がかかった状態で、なにか物音が鳴った途端……何かがあたしたちを刺激した途端に、あたしたち二人はためらいなく引き金を引くだろう。あたしは榛名を止めるため、そして榛名は涼風を助け、ノムラを殺すために。

「……ケフッ……榛名さん」

 そんなあたしたちの間に、細っこい雪緒が割り込んできた。あたしたちの間に立ち、あたしに背を向け、背筋を伸ばし、榛名の前に立ち塞がりやがった。

「雪緒くん、どいてください」
「嫌です」
「どかなければ、怪我をします」
「ぼくは提督の息子で、ただの人間です。そんなぼくを……あなたは、撃てますか」
「……」
「……ケフッ」

 あたしに背中を向けているから、雪緒が今、どんな顔で榛名の前に立ちふさがっているのか、あたしには分からない。だけど。

「……撃ちますよ!」
「撃てるならどうぞ」
「榛名は本気ですよ!?」
「ゲフッ……ゲフッ……」

 冷静さを欠いているとはいえ、榛名が目に見えてうろたえている様子を見る限り、雪緒は堂々と榛名を追い込んでいるようだ。

 榛名はわなわなと全身を震わせ、主砲の狙いを雪緒に向けた。だけど雪緒は微動だにしない。ピクリとも動かず、むしろ堂々と両手を広げ、榛名の前に立ちふさがっている。その後ろ姿には動揺もなく、ただ覚悟だけがにじみ出ていた。

「どいてください! あなたの代わりに、榛名がちゃんと涼風ちゃんを助けますから!!」
「嫌です!」

 雪緒に立ち塞がれた榛名の目に、段々と涙が溜まってきた。艦娘の、しかも艤装フル装備の自分の前に立ちふさがるのは、艤装を身に着けているとはいえ、ただの人間の雪緒。その雪緒は助けに行くことが許されて、自分は許されないという事実が、榛名には我慢がならないらしい。

「なんでですかッ! ただの人間のあなたが助けに行くのは良くて、どうして艦娘の榛名が助けに行くのはダメなんですか!!」
「……ゲフッ」
「今だって! あなたは涼風ちゃんの艤装しかつけてないじゃないですか! ただの人間のあなたに、涼風ちゃんの艤装が使いこなせるはずがないじゃないですか!」
「……」
「駆
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