暁 〜小説投稿サイト〜
俺の涼風 ぼくと涼風
番外編
ぼくの決意とワガママ
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みが二つ。

「はい。じゃあこれを、これから毎食後に飲んで下さい」
「はい」
「一応二つ置いておきますけど、一つはこぼした時の予備です。飲むのはひとつだけで構いませんから」
「わかりました」

 その二つの包みには、ぼくは見覚えがあった。

――苦いんだよねーこれ……けふっ……
  ゆきおがピーマン嫌いなの、責められないなぁ……

 包みを開き、中を見てみる。見覚えのある白くて細かい粒子の粉薬のようだ。少しだけ、指にとってなめてみた。

「……苦い」

 それは、薬をこぼした時の母さんの周囲から漂っていた苦い空気と、同じ味がした。

 晩年の母さんが飲んでいた薬と同じものを、ぼくも出された。それが何を意味するのか、気づくのにさほど時間はかからない。答えにたどり着いた時、途端に血の気が引いたのが分かった。

「……ッ」

 覚悟はしていた。いつの日かその日が来るんだと、覚悟はしていたつもりだった。

 だけどこうやって、母さんが亡くなる寸前まで飲んでいた薬を自分にも処方されたとなると、ぼくもその日が近づいてきているんだという事実を、まざまざと見せつけられたような気がしてならない。

 足は布団の中に入ってるはずなのに、身体が酷く寒い。カーディガンを羽織ってるのに寒い。身体をなんとか温めたくて、二の腕をさする。それでも寒い。

 視界に靄がかかったように、見慣れた室内が歪みはじめた。なんだかとても息苦しい。新鮮な空気が吸いたい。こんな、消毒薬の匂いしかしない、息苦しい空間の空気なんかじゃなくて。

「……ッ! ……ッ!!」

 喉の気管が締まったかのように息苦しくて、痛くて、息をしていられない。ベッドから立ち上がり、急いで窓のそばまで移動して、閉じていた窓を開ける。途端にカーテンがバタバタとなびき、そして冷たくて新鮮な空気が、ぼくの部屋に吹き込み始めた。

「ハッ……ハ……ッ……フッ……フッ……」

 幾分息苦しさが改善された。乱れてしまった息を整え、上下に揺れる肩をなんとか収めた。窓の外は、眼下には一本の桜の木。そして目の前には、少し前に、涼風がぼくをおんぶして連れて行ってくれた、あの大海原が広がっている。

 息を整えて、気持ちを落ち着けろ。

 ぼくは、憧れの艦娘になるためにここに来たんだ。

 あの薬も、艦娘になるために必要なものなんだ。

 死ぬからじゃないんだ。

 そう、思うんだ。怖くなんか……ないんだ。

 ベッドのそばに戻り、キャスターの上に置かれた二つの包みを改めて見つめる。そのうち、先ほど開いた一つを手にとって、改めてジッと見つめた。母さんが飲んでいたものとまったく同じもののようだ。この細かい粒子の粉薬は、強烈に覚えてる。ぼくの目の前で母さんが飲
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