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俺の涼風 ぼくと涼風
番外編
ぼくの決意とワガママ
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「そっかぁ……ゆきおとあたいは……」
「涼風?」
「二人で……へへ……一人かぁ……」
「眠い?」

 僕といっしょに布団の中に潜っている涼風の顔が、やっと安らいできた。まるで眠気に耐えられずにうとうととしだす子犬のように、涙で滲んだ綺麗な両目を薄く開き、そしてやがて、微笑んだまま、ぼくの問いかけに返事をしなくなった。

「……おやすみ、すずかぜ」

 スースーと心地よさそうな寝息を立て、涼風はぼくの胸の中で心地よく眠っている。ぼくの左手を握る涼風の右手から力が抜けた。今なら、涼風の手の内からぼくの手を抜いて、自由にすることができるけど。

「……」

 今はその気が起こらない。涼風の右手はとても温かくて、ぼくの左手をぽかぽかと温めてくれる。優しく、力なくぼくの手を捕まえている涼風の右手を、強く握り返す。

「……」
「……」

 涼風の右手が、ぼくの手を強く握り返した。ぼくの胸にドキンとした心地よい胸の痛みが走り、そしてその後ぼくの全身に、心地良い安心が充満していった。

「……涼風」

 胸が詰まる。再び、涼風の右手を強く握る。心の中を言葉にしてしまいたい衝動にかられ、唇をもじもじと動かした後、思い直して、口を閉じた。

 ぼくは、涼風に隠していることがある。

 ぼくに勇気をくれた涼風には、絶対に見せられない姿が、ぼくにはある。

 ぼく以上の恐怖に悩まされ、今も苦しむ涼風には言えない秘密が、ぼくにはある。

 涼風は、ぼくがここにいる理由を『男なのに艦娘の適性があるから』だと信じている。

 これは、ぼくが涼風についたウソだ。『どうしてここに来たんだ?』と涼風に聞かれ、本当の事を言いたくなくて、ついたウソ。

――……ぼくは、男の艦娘なんだッ

 そんなぼくの言葉を聞いた涼風は、きょとんとした顔で、『なんだって?』と聞き返してきてたっけ。当たり前だ。ぼく自身、『男の艦娘』なんて、聞いたことない。

 でもぼくは、ウソをついた。本当は、『男の艦娘になるため』だ。ぼくはずっと、艦娘にあこがれていた。巨大な艤装を身につけて、制海権をかけて、深海棲艦と日夜戦い続けるヒーロー。身体が小さくて弱いぼくには、到底なることが出来ない、かっこ良くて、とても強い人たち。そんな人たちに、ぼくはずっと、憧れていた。

 ……そしてぼくは、ぼく自身にもウソをついている。ぼくがここにいる本当の理由は、『男の艦娘になるため』なんかじゃない。それは……

………………

…………

……

 涼風に無理矢理外に連れだされ、はじめて大海原に出た日からしばらくたったある日。昼食を食べ終わったぼくの部屋に、看護師の女の人がやってきた。その手には、水が入った水差しとコップ、そして、パラフィン紙の包
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